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01.診断メーカーより。


 放課後の教務室。

 クラブ活動で作ったお菓子を手に、ノックもしないで扉を開ける。
 サンジの視界に飛び込んできたのは、こちらに背を向けた上半身裸のゾロ。
 部活の指導でかいた汗をタオルで無造作に拭っている。
綺麗なシルエットが夕日に浮かび上がる。
 ノックぐらいしろと言いながら振り向く表情は陰になって見えないが、声音からはさほど気にしていないことが伝わってくる。
 今日のは何だと問う声に、反応が遅れた。
 はっとして、レモンのパウンドケーキだと答えながら、サンジは後ろ手に扉を閉める。
 それを机に置こうと近付くと、ゾロは足でキャスター付きの椅子を引き寄せながら、背凭れに掛けてあったジャージを羽織った。
 ふわっと舞うジャージからは、持ち主の匂いがする。
気付かれないように視線をやらずにそれに意識を向かわせる。
 椅子が軋む音。
 勝手知ったる様子でコーヒーメーカーに向かうサンジの後ろ姿をちらと横目で見てから、ゾロは背凭れに体重を掛け、目を瞑る。
 コーヒーの香りと、コポコポという音が室内に広がる。
眠っているような姿を、静かに、悟られぬように、サンジは目の端で見つめる。
 コーヒーメーカーの音が止んだ。
ケーキを取りに机に向かうと、着るならちゃんと着ろよ露出狂教師、生徒のお手本はどうしたよと言いながら、覗く素肌に視線を這わす。
 本当に寝ているのか、ゾロはなんの反応も見せない。
おいこらボケ、寝てんのかよと、更に悪態をつく。
 やはり反応がない。
 すっとした目元。通った鼻筋。無駄な肉のない頬。
 意志の強そうな唇が少しだけ開いていて。
 どこも固そうな姿の、一箇所だけ少し柔らかそうな、その唇。
 サンジは唇を噛み締め、拳をきつく握った。
 ぎゅっと目を瞑っても、脳裏に焼き付いている。少し震えていることは自覚している。
 それでも。
 胸が痛くて、目頭が熱くなる。
 もう一度強く握った拳を開き、シュッと自分のベルトを抜き取ると、ゾロの体を椅子ごと拘束した。
 締められる感覚に、無防備だったゾロもさすがに目を開けると、今にも泣き出しそうなサンジの表情が飛び込んできた。
 それは直ぐに暗闇に消えた。
 視界を塞いだ手は、とても冷たくて、小刻みに震えている。
 何してんだ、離せ、外せと言う声は、サンジを諭すように静かだった。
 逆らうように手に力を入れると、椅子が押され、机にぶつかる。
 背凭れが固定されたせいで、ゾロの顔が上を向かされる形になった。
 そして、もう一方の手を机に付き、サンジは顔を寄せていく。
 ゾロの額に、そして頬に、サラリと長い金の前髪が触れる。
 ゆっくりと吐息が撫でる距離まで近付いたのに、サンジはそこで止まってしまった。
 手の震えが少し大きくなるのを止められない。
 離せ、とまたゾロが言った。
 その唇の動きさえ感じるほど近くに寄せながら、それ以上動けなくなってしまった。
 突き飛ばして、振りほどいてくれればいいのにと思ったとき。

 ゾロがその手を押し返すように首を伸ばして、サンジの唇に噛み付くように口付けた。



end.



『ショウさんにオススメのキス題。シチュ:教室、表情:「目を瞑る」、ポイント:「拘束具」、「自分からしようと思ったら奪われた」です。』(Twi○ter診断メーカーより)













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