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love affair? (5) ※R15 [12.10.30.]


 始めはまるでいつもの喧嘩の延長のようだった。相手を先にイかせてやるとか、相手より先にイってたまるかとか、いつの間にか勝負になるのは当たり前。
 ただ、それも長くは続かなかった。
 前回寄港してから随分たつし、2人ともまだ19で健康過ぎるくらい健康だ。そりゃあ溜まっていて当然。これだけご無沙汰なら、勝負なんて二の次になるのは仕方がない。堪らなく気持ちよくて当然だ。自分の中に言い訳を並び立ててみる。
 自負するだけあって、サンジの手は気持ちよかった。そして、意外なほどゾロの手も器用だった。
 言い訳すらどうでもよくなった。

「あー……すっげえよかった……」
「……はぁ……」

 大きな吐息には満足した甘い雰囲気が混じる。
 コツンとゾロの肩に頭を乗せたまま、うっとりとした様子は、今まで寝てきた相手以上の艶やかさを孕んでいて、またゾロの中で何かがチリッと音を立てた気がした。

「なあ、もう満足しちまった?」
「あ?」

 少し頭を傾けて問う表情は、まだ酔ったままだからか、あどけなさをも含んでいる。これでタチと思われないと文句を言われても。

「なあ、もう一回……」

 耳朶を掠める唇とあやすように触れてきた指に、ゾロも考えるのを放棄して、無骨な指を伸ばした。


* * * * *



 味をしめた2人は、メリーに戻ってもこっそり処理をし合うようになった。
 最初は抜き合うだけだったが、回を重ねるうちに、サンジはやたらとゾロの体を撫で回すようになった。勿論筋肉を堪能するためだ。
 そして、こっそりしけこむ場所もいろいろ転々としたが。
 その夜のサンジはちょっと深酒しすぎていたように思う。

「汗臭え!」
「今更だろ」
「距離が近い」
「じゃあ離れろ。くっついてくるのはテメエだろ」

 胡座をかいたゾロの上に向かい合わせにサンジは座っている。
 身長がほぼ同じ為、そうするとサンジが頭一つ分ほど高くなる。その視界には、首筋から肩、胸は勿論だが、引き寄せれば背中も覗ける。例え服の上からでも掌から伝わる躍動もたまらないが、やはり視界から得られる刺激もゾクッとクる。

「近づかなきゃ見えねえ」
「見えるところでいいじゃねえか」
「よくねえ。探求心に妥協はしねえ」

 こうして誘ってくる時はホロ酔いなことが多いが、今夜は随分と酒量がいっていて、まるで最初の時のようだ。いや、躊躇がない分質が悪い。萎えないのが不思議だと、半ばゾロは自分に対しても呆れ気味だ。げんなりした気持ちとは裏腹に、酒でほんのり色付いた白い肌と緩い刺激を止めない指先に、体はしっかりその気だ。

「あ、そうか! おい、マリモ、行くぞ!」
「は?」

 言うが早いか、自分もさっさと服を整え、ゾロの腕を引っ張り、連れ込んだ先は。

「よし、脱げ!」

 風呂場だった。
 メリー号の風呂場は狭い。当然2人で入れば否が応でも近寄らざるを得ない。

「考えたらよ、ここなら裸でいても慌てるこたあねえし、アノ男臭え臭いにも困らねえし、狭いからくっついてても仕方ねえし、一石何鳥だ? なんで気付かなかったんだろう。バカだなあ、マリモ」
「何で俺だ!」

 これだけ酔っぱらっている中で風呂なんか入ったら、余計に酒が回るんじゃねえかと思っている間に、サンジはさっさと全裸になり、ゾロの体を撫で回しながら脱がしてしまった。まあ、二日酔いで苦しむのはアホコックで俺じゃねえしなと、ゾロはされるがままになっていた。
 すっかり脱がされると、今度は頭からシャワーを浴びせられた。ざっと流して、あーさっぱりと、なぜかサンジが言った。なんなんだと気が削がれかけた。
 が。

「……おい」
「あん?」

 サンジは背後からゾロを抱きしめるように左手は肩を撫で、右手はゾロのソレを緩く抜く。

「気持ちいいだろう?」

 そう囁きながら、悪戯にピアスを咥えた。
 正面にある鏡に2人の姿が映し出されている。雄の色気を纏わせた視線で、鏡越しにゾロを射る。する、と胸に走る傷跡をなぞった。腰を押しつけられ、既に固くなっていることを教えられる。

「テメエにヤられてやる気はねえぞ」
「知ってる」

 言いながらも、サンジはゾロの体を愛撫することを止めない。そして、鏡の中から妖艶な笑みを投げて寄越した。
 それを受けて、ゾロがニヤリと笑った。
 そして、左手をゆっくりと上げ、ピアスを悪戯するサンジの唇を指でなぞり、こじ開け、舌を軽く嬲ると、その濡れた指先を白い首筋に滑らせた。
ひく、とサンジの指が反応する。負けじと目の前の太い首筋をゆっくりと舐め挙げた。

「汗臭えんじゃなかったのかよ」
「今綺麗に流してやったろ」

 そういって、耳の舌を軽く吸い上げた。
 サンジの首筋や襟足を擽っていたゾロが、いきなり振り返り、お返しとばかりにサンジの耳朶に軽く歯を立て、右手でサンジのソレを握った。
 これまでは、互いにズボンの前を寛げて抜き合っていた。いつ誰が鉢合わせるか分からない状況で、ゾロはまだしもサンジまでが服を脱いでいるなど不自然極まりない。初めて裸で相手の素肌を愛撫しながらの行為に、無性に興奮した。
 ふいにサンジのソレが反応した。何かと思って、その表情を覗き見ると、正面を熱い浮かされたような視線で見つめている。
 ああ、と、ゾロは思い当たった。
 初めての夜以来、「背中を見せろ」とは言われなかった。だから、すっかり忘れていた。こいつは背中フェチだったなと、くくっと喉の奥で笑った。

「触っていいぜ」
「え」

 何のことか分かっていない、子供のようなあどけない反応。思わず笑ってしまいそうだ。

「背中」
「え」

 今度は戸惑いが滲む。
 まただ。自分の中で、何かが走る。感情なのか、衝動なのか、まだ分からない。考えても仕方がない。この白い手に触れさせたくなった。ただ、それだけで十分だ。
「触れよ」

 耳元で言ってやった。
 ぴく、首筋に緊張が走り、そっと背中に手が当てられた。その瞬間、手の中でドクンと脈打ったのは、恐らく同時だったに違いない。
 同じように白い背に手を滑らせたゾロは、かすかに残る傷跡を辿ってから、そのまま下へと滑らせ、小さな尻を掴むように揉んだ。

「俺もテメエにヤられてやる気はねえ」
「知ってる」

 先程と同じ言葉で言い合うと、どちらともなく笑いがこみ上げる。こんな雰囲気の中でさえ相変わらず張り合ってしまうのは、もう条件反射なのかもしれない。くだらないと思いながらも、挑発することを止める気はさらさらなかった。
 そして、そのままお互いの体をまさぐりながら、抜き合う手を早めていった。



to be...
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