love affair? (2) [12.05.03.]
部屋にはどでかいベッドと、小さな小さなテーブルがあるだけだった。
サンジが酒をテーブルに置くと、ゾロがそこから1本取って、ベッドにドサッと座った。同じようにサンジも酒を取ってゾロの横に座った。
「椅子くれえあってもいいのによ」
「下から持ってこさせるか?」
「いや、もういい」
そう言ってサンジがぐびりと一口煽ると、横では空の瓶がテーブルに置かれた。
「早えよ」
「あ?」
「空けるの早過ぎだ。ここにあるだけで追加はねえぞ」
「てめえはそれで足りるだろ。残りは貰う」
さも当たり前というふうに、構わず2本目を煽った。
「ああ!? 足りるかよ」
「いつもは1本しか飲まねえだろうが」
「いつもと違えから言ってんだ。飲まずに聞けるか」
ゾロの動きがふと止まった。そして、思い出したように聞いてきた。
「男だったな」
「そっちもな」
なんとなく、沈黙。
酒を呑む音が妙に響く。
先に耐えられなくなったのはサンジだった。
ダン、と酒瓶をテーブルに置いた。
「両刀だって?」
「まあな」
「まあなってなんだ、まあなって」
「どっちでもヤレる」
「ヤレるって、テメエなあ」
あー大分回ってきてるなと、ゾロはチラッとサンジを見た。 返って話しやすいし、聞きやすい。
実は、ゾロは意外にもこの手の会話をまともに話したことはなかったので、どんな風に話していいものだかよく分からず、妙に緊張していたりもする。
「三刀流の魔獣は両刀か。そっちも三刀流にすりゃいいんじゃねえ?」
「あと何あるんだ。てめえこそ、普段あれだけの扱いしやがるくせに、実は男色かよ」
「男色って……」
ガクッとうなだれながら続ける。
「せめてゲイと言ってくれ」
「同じじゃねえか」
「全然違え!」
「何が」
「俺の感覚が」
「知るか」
「ああ!?」
いつもみたいな睨みつけてくるチンピラ顔。
「ってことは、てめえは男にしか勃たねえのか」
「流したな」
「いつもの女好きは振りか」
「いいや。っつうか、テメエは人の話を聞け」
「聞いてるから聞いてんだろ」
「ん? 何? もう一回」
キョトンとした表情。
話を聞いているから質問しているんだと言ってやってもいいが、懇切丁寧に説明してやる義理はないし、相手は適度に酔っ払いなので、適当でも平気だろう。ぶっちゃけ面倒臭い。
「別に。本当は女は嫌いなのか?」
「レディはこの世の神だ」
「でも、勃たねえんだろ?」
「レディにそんなはしたない真似できるかっ!」
酒のせいか、真っ赤な顔で怒鳴った。
「いや、勃たねえ方が女は凹むんじゃねえか?」
う、とたじろぐ様子に、図星かと呟く。
「もう、あのときのレディの悲しみの表情に、俺の心は引き裂かれんばかりだった!!」
芝居がかった仕草を綺麗にスルーして、置かれた酒瓶を渡した。
「そりゃあ、あんまりだったな」「お、分かってくれるか、毬藻のくせに」
ムッときたが、これもスルーだ。この際、酔わせて洗いざらいしゃべらせるか。
「しかし、本当に男だけなのか」
「しつけえな」
「男の何がいいんだ?」
「体」
「即答だな」
開き直りに酒の力が加わって、サンジは躊躇をどこかに放り捨てた。
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