普遍な日々(2) [09.12.09.]
出航前日。夕日が差し掛かってきた頃。
船番のサンジは夕食の準備をしていた。テーブルには2人分の食器が並んでいる。今、船には一人きりだ。だが、サンジは歌をくちずさみながら、2人分の食事を作っていた。
もう陽が暮れようかという頃、気配が近づいた。
「遅えよ、ハゲ。でもまあ、今回は一人で帰って来られたから、良しとしよう。偉い毬藻ちゃんですね〜」
「腹減った」
「その前に風呂! 食わせねえぞ」
「エロコック」
「そっちじゃねえよ、色欲魔獣が。鍋の中身は一口もやらねえ」
「! すぐ戻る」
「バーカ、きっちり洗ってこい!!」
クスクス笑いながら、酒の冷え具合を確認する。
鍋の中身は、もちろんリクエストされたものだった。
例えどんなことが起こっても、後悔が少なくてすむように。
未練を残すくらいなら、多少のものには目を瞑ろう。
夢を夢と思わずに進むのだから。
今この瞬間を踏みしめて、生きていこう。
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