(久しい安眠)
最近、アッシュに会っていない
というのも、互いの仕事や都合が合わなくてそれは仕方のない事だった。
なまえはそれに駄々をこねて、今すぐ会いたい。等と我が儘を言い、アッシュを困らせる気は毛頭ないが、やはり二週間近くも会っていないと淋しさで瞳を湿らせる事も度々あった。
忙しいのか連絡を一つも寄越さないアッシュの行動がソレに拍車をかけた。
恋人同士になってこんなに離れ離れになったのは初めてで、そのせいかなまえは暫く眠れない夜を過ごしていた。
今日も一人ベッドに潜り込むが数時間経っても中々眠りにつけないでいた。
眠たくないわけでは無い。眠たいのだ、眠たいのだがいくら横になってようが中々寝付けない。寝れても一時間程度で目を覚まし、その一時間も寝た気にならないのだ。
なまえの目の下にはくっきりと隈ができていて
一目で「ああ、寝不足なんだな」と分かる風貌だ。
「…眠れない」
ぽつりと誰も居ない暗闇に漏らすように呟いた。
何度も何度も寝返りを打ち、何度も寝返り枕の位置を変えた。
眠れない、となると起きてる時間は何かを考える時間に使われて、当然のようになまえの頭の中にはアッシュが居た。
「(もう寝てるかな、まだ仕事中かな、誰と居るかな、私の事を考えててくれるかな、会いたいな)」
一通り妄想した後で自分に嫌気がさす。
なんて重たい女だ。
こんなんじゃアッシュもいつかはウザイって思うようになるんじゃないか。
アッシュに「ウザイ」と言われる所を想像して、更に落ち込んだ。
寝不足と疲労のせいか、かなり思考がネガティブになっている気がする
鼻を啜ると、何も考えないようにしよう、と考えながら目をつむった。
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