(レーゾンテートル)
ガシャン
渇いたガラスの音がキッチンに響く。
スマイルは音のした方へ反射的に振り向く。
そこには青いファンデーションを塗ったスマイルのように、真っ青な顔の少女が一人。
両手を口元に持っていき、しまった!という表情で小刻みに震えていた。
「なまえちゃん?」
スマイルが何時もと寸分変わらぬ調子で話し掛けると、なまえは肩を震わせ、素っ頓狂な声を出した。
「ひぃっ!!あっ、あ…ごめんなさい!!!」
頭を深く深く下げ、青い顔のスマイルの顔色を伺いながら、膝を折った。
素手で、勢いよく触ったものだから、思った通りと言うか、やっぱりと言うか。
なまえの指から赤い血が流れた。
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