(オマケのアッシュ視点)



「違う!俺は!」


あの時、何を言い出しそうになった。

きっとあのまま続けていたら、自分の内にある想いを全部ぶちまけていただろう。
否、ぶちまけようとしていた。
していたけど、あの時のなまえの顔を見た時、怖じけづいたのだ。

弱虫な自分が馬鹿らしくてやっていられない。

確かに、想いを伝えれば自分は楽になるかもしれないが、なまえはどうだろう。
戸惑って、今まで通り接れないのではないか。
もう朝ご飯を作るという理由でなまえの家に行けなくなるかもしれない。

今の関係を壊したくない
そんな理由を付けて逃げてる自分が、自分が馬鹿らしい。


「なまえ…ごめんっス」


こんな不純な気持ちで、近づいて、何も知りませんみたいな顔してて、ごめん、
ぐっと唇を噛み締める。
無意識に突っ込んだ上着のポケットにカツンと音を立てて、手に何かが当たる。
それを触れば、中々起きないから勝手に上がってて、と渡されたなまえの家の合い鍵だという事が、すぐに分かる。

鍵をぎゅっと握ると、切ないような苦しいような複雑な気持ちが襲ってくる。
でも、きっと、あの愛しくて心地良い空間を守る為に俺はまた何も知らない顔をしてあの家のドアを開ける。




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アッシュはネガティブだと、思います。ました。


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