抱きしめられた腕が離れない。

「MZD…?」
「お前人に抱きしめられた事ある?」

それは誰だってあるだろう。
お母さんや友達。
愛情の表現や友愛の意。
ただこんなにドキドキするハグは初めてってだけだ。

「安心するだろ」

人は暖かいんだぜ、と付け加えるMZDは神様だ。
「神様も暖かいんだね」と返すとMZDは笑った。

「お前は色々溜め込みすぎだ、そういう環境のせいかもしれないけど、あんま無茶すんな」

何を言っているのか分からなかった。
脈絡がなさすぎるその言葉は何年も私が待ち望んだ言葉。
どうして貴方がそれを言うの。

(何よ)

どうにも胸が熱くなって、ついでに目頭も熱くなって。
熱いものが頬を伝っていた。

「MZDは私をどうする気なのよ〜…」

だらし無い声で必死にMZDの首元にしがみつくなまえ。
そんななまえの頭を何度も撫でながら、「頑張ったな」と優しい声を出すものだから、熱いものはもっと込み上げてくる。
なまえは暫くの間、泣き続けて。
その間MZDはずっとなまえを抱きしめていた。

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