スマイルは馴れた手つきで器用に消毒を済ませると、まだ痛々しく脈を打つなまえの指に絆創膏を巻き付け、「お終い!」と微笑むとなまえの頭にポンッと手を置いた。

「あ、あの、スマイル」

「ん?」

「ご、ごめんなさい」

スマイルは目を細めた。
俯いているなまえの表情は読み取れないが、きっとまた何時ものように自分を責めているのだろう。

「…それは、何に対しての謝罪?」

わざと少し突き放すような声で、笑顔を崩さず、なまえに尋ねた。
なまえはそれを知ってか知らずか、眉根を寄せた。
そして小さな声で、呟いた。

「手間かけて、ごめんなさい」

今の消毒と絆創膏の事だろう。
嗚呼、とスマイルは心の中で嘆いた。
(全くこの子は)
どうしてそうも自虐するのか。
謙遜も行き過ぎると嫌味だ。
目の前の小さな少女はどうしてこうも自分を貶し、嫌うのか。

(僕はそんな事じゃあ嫌いになんてなってあげないけれど)


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