(懐かしのアイロニィ)


いつだかにユーリが長い間眠っていたのだ、とアッシュから聞いた事がある。
それを聞いてユーリを茶化すように言った。

「ユーリは眠ってる時が1番だよね、嫌みも言わないし喧嘩もしない、何よりムカつくけど綺麗だし」

それを聞いたユーリは鼻で笑っていたけど、本当はどう思っていたのだろうか。
今となっては分からない。

いつものようにユーリの城へ遊びに行くと、前のような楽しい声が聞こえなくなっていた。
アッシュはソファーに座り考え込むように俯いて頭を抱えていた。
スマイルはこちらを見ると、ふっと透明になって姿を隠した。
一瞬見えたその表情はイラつきにも似た、悲しげな表情だった。

何だか嫌な予感がする。
ざわざわと胸が騒ぎ出す。
恐る恐るどうしたのか、とソファーに座るアッシュに尋ねれば、アッシュは重たい口を動かした。

一瞬、時が止まった。

同時に足が勝手にユーリの元へ走り出していた。
嘘だ嘘だ。と心の中で何度も念じ、息を切らした。

ユーリの元へ来た時に事の重大さに涙が零れ落ちた。


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テーマ「人外ファンタジー」
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