「(照れてるなァ)」
クスクスといつも通り笑顔のスマイル。
この笑顔はそう、面白いカモを見つけた。
そんな悪戯心に満ち溢れた笑顔だった。
「あっ、あのっ、スマイル…?」
「ん?なぁに?」
まだ目線が合わないなまえ。
それはそうだ。
ひそかに、ひそかにずっと恋い焦がれていた人にずっと待ち望んだ言葉を言われたのだから。
意味合いは多少違えど、なまえはスマイルが自分を嫌っていない、好意を持ってくれているのだ。
それだけでこれ以上ないくらい幸せだった。
「あの、さ、…私も、私も好き。だよ、うん。」
顔を真っ赤に染めて、俯きながらなまえは小さな声で呟いた。
もちろんこれはそういう意味で。
しかしなまえは先程のスマイルの言葉にさらりと何事も無かったかのように返事をした気でいるのだから笑いものだ。
これだけ顔を染めておきながら「友達としてです」だなんて、いくらなんでも「そうですか」とはならない。
スマイルもそれを分かっていた。
それでなお、気付いていないフリをして軽く返した。
「ありがとう!…両想いってやつだねぇ…」
相も変わらない笑顔でスマイルが言うから、なまえはまたまた顔を赤くする。
なまえだってスマイルが冗談で言っている事は分かっていた。
だがこれは反則じゃあないだろうか…
なまえはそんな事を考えながら、精一杯の笑顔で「そうだね」とたった四文字の言葉に何回も噛みながら必死に言った。
「両思いってことは…オツキアイとか?」
「ばっばかいわなっ…!!いっいや、じょっジョーダンだかっらっらね?」
もはや言葉とも言い難い。
なまえは何度も舌を噛みながらズザザーっとスマイルから離れる。
緊張からか汗もかいてるようだ。
「…僕とは遊びだったの…?」
スマイルは上目使いで目を潤ませなまえを見つめた。
なまえは目を見開いてあわあわと口を動かす。
相変わらず顔は真っ赤です。
「なっ何、いってんっの?!ススススマイルだって、冗談でっいっ言ったんでしょ?!」
緊張しすぎて恥ずかし過ぎてかなまえの目には涙も見えてきた。
スマイルは少しやりすぎたかな、と罪悪感を感じたがもうここまできたらヤケだ、と言葉を続けた。
「……本気だって言ったら?」
← →