アッシュは抱きしめる力を少し緩めて、ぐっと私の肩を持つとそこに顔を埋めた。
彼の顔が肩に当たっている、と緊張するなまえを余所に、アッシュは口を開いた。
「分かってたんス」
「え?」
「なまえが…なまえが照れ隠しで言ってる事」
「……えっ?!」
素っ頓狂な声が出た、となまえは自分でも分かった。
それほどまでになまえは衝撃を受けていたのだ。
(アッシュは分かってた、って、それって…!)
何て恥ずかしいことか
なまえは顔から火が出る。とはこういう時に使うのだなと思いながらも必死に羞恥と格闘していた。
「なまえが嫌ってない事、ちゃんと分かってたのに意地悪言ってごめんっス…」
「あっいや、謝らないで…私が悪いし」
「でも、好きって言って貰えなくて、苛々してたんスね、多分」
「……ごめんなさい」
アッシュがなまえの肩から顔を上げる、すると真っ赤ななまえと目が合って、二人で噴き出してしまった。
クスクスと笑い合うと、なまえは不意にアッシュの熱を帯びた熱い視線を感じた。
笑いがピタリと消えて、なまえはほんのり頬を赤くした。
「なまえ」
「はい」
「…キス、して、いいっスか」
流石にここで断る程なまえは野暮ではない。
なまえは一度、照れ臭そうに俯くと、軽く深呼吸して、ただ黙って返事を待つまるで忠犬のようなアッシュを見つめた。
そしてとびきりいい笑顔で「はい」と微笑んだ。
「そういう所大嫌い」 Title by ポーリッシュ
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