prologue

風が吹いて、誰もいない真っ暗な建物の中の空気をゆっくりと動かした。
今はもう、誰にも使われていない廃ビル。
そのビルの屋上に、一人の人間がいた。 
その人間――まだ少年と言われる年齢である――は茶色く錆びた手すりに体を預け、ゆっくりと地上を見下ろす。
きいきいと、鉄がきしんで怪しい音を立てる。
車道を車がせわしなく通っている。
人の話し声も聞こえる。

「―――」
 
少年は、その光景を睨むように見た。
ヒュウッと強い風が吹き、少年の体を揺らす。
そしてその体は宙を舞い、重力に逆らう事無く、落ちて行った。





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