19

がや、がやがや――。

いつもの様に騒がしい教室で、要は机に頬杖をつきながら外の様子を見る。
灰色の雲に切れ間は無い。
ふと、一人の女子が、おずおずと自分の元にやってくるのがガラスに映る。
要は窓の外から視線を外すと、そちらの方を見やると、女子は一瞬びくりと体を硬直させたが、何やら照れながら口を開いた。

「あの――、浅葱君、今日はどうしたの?」

――またか。
表情には出さないが、内心呟く。
そして、私情で今日は休みだと伝えると、

「そっか。――ありがとう」

明らかに落胆した様子で帰っていく。
これで何人目だ、と要は溜息を吐いた。
風邪ならお見舞いにでも――という考えがあるのだろう。
要は外を見ると、重々しく広がっている雲に、鬱々とした目を向けた。

――雨降りそうだな……。

要はそう思うと、ほんの少し嫌そうに眉を潜めた。





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