12


さく、さくさく。
一旦雪が止む頃を待って、凪は外に出た。
幸い雪はちらついた程度で済んだため、外出には殆んど支障はなかった。
凪は昨夜の雪を踏みしめながら、街から少し離れた森の方に向かう。
ちなみに銀はフードの中である。
暫く歩いて、全く人気のない開けた場所に出る。
背の低い柵に覆われているそこは、灰色や茶色の石がそこかしこに並んでいた。
『集団墓地』――看板にはそう書かれている。
凪は真ん中の雪に覆われた道を通って、一つの墓石の前に行く。
雪がたっぷりと積もっているそれを軽く触れると、雪を払うようにぱっぱと撫でた。
白い雪の下から灰色の墓石が表れる。
凪がその前にしゃがんで黙祷をする。
その間に、フードから銀がするりと抜け出し、墓石に刻まれた名前を見る。
――ゆつき……しの、の…め、……東雲 斎槻?
慣れないアルファベットに苦戦しながらも、何とかそう読む。
そして、凪を見ると、ばっちりと目が合う。
銀は一瞬ぎくりと身を強張らせ、凪は――、

「この人はね、僕がいたから亡くなったんだよ」

どうしようも無い程に、自嘲的な笑みを浮かべ、墓標を撫でた。
左耳に付けたピアスがしゃらりと揺れた。





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