13

次の日の昼休み。
恵はゆっくりと屋上の扉を開けた。
隙間から顔だけをのぞかせて、きょろきょろと注意深く辺りを伺う。
そして、誰もいない事を確認すると、嬉々として屋上の扉を開けた。
空は青く晴れ渡っていて、程よく風のあるとても気持ちのいい午後だ。

「今日はあいつ居ないのねー」

恵はそう嬉しそうに小さく呟くと、昨日とほぼ々位置に腰をおろした。
そして、手にもっていたビニール袋からサンドウィッチとカフェオレを取り出した。
その時――、

「――めですか?」

か細い女の子の声が聞こえた。
しかも今にも泣き出しそうだ。

『裏かな……?』

恵はそっと立ち上がると、声のしたほう――出入り口の裏側だ――に足音を立てないように気をつけて近づく。
そして、そっとのぞくと、そこには可愛らしい少女――上履きの色から判断するに、一年生だろう――が、やはり泣きそうな表情でたっていた。
そして、もう一人。
困ったような表情をして、浅葱 凪が立っていた。





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