9

「その藤岡さんに何か嫌われるようなことしたか?」

晃が新しく紅茶を入れながら、訊いた。
一応話はちゃんと聞いてくれるらしい。
凪は少し考える素振りをすると、

「いえ、特に――あ」
「あるのか?」
「……いえ、関係ないと思いたいのですが……」

凪は暫く言いよどむと、

「藤岡さん、昨日要に告白してるんですよ」
「……で、要はなんて返事したんだ?」
「断ってました」

興味津々な様子の晃に半ば呆れながらも答えると、晃は少しだけ眉間にしわを寄せて、

「逆恨みか?」
「……」
「凪も大変だな」
「――有り得ませんね」
「?」

乾いた笑いを混ぜていった凪の言葉に、晃は疑問符を浮かべた。
其れに凪は、だって、と言葉を繋げた。

「僕は学校では男ってなってるんですよ?男に嫉妬するなんてそんな不毛な――」
「いや、わからないぞ?」
「……はい?」

言い終わる前にズイッと身を乗り出して言晃に、凪は身を引いて間隔をとりつつ怪訝そうな顔をした。

「もしかして要がそういう趣味あるって思われとるかもしれないだろ?」
「……馬鹿言わないでください」

凪はそういうと、晃の額を軽くはじいた。

「いて」

晃ははじかれた額を抑えて恨めしげに凪を見る。

「でも、そう見られてたとしたら有り得無いことも無いだろ?」
「もう一回いります?」
「……」

にっこりと笑っていった凪に晃は閉口した。
凪はそんな晃をよそに、

「ああ、でもどうして要は誰とも付き合わないのでしょうね?」

と、心底不思議そうに首をかしげた。
晃はそれに苦笑を返すだけで、何も答えなかった。
そして、小瓶の間の前に置くと、まあ、がんばれ、と凪の頭を撫でた。





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