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「つまりその子を何とかしなきゃいけないわけだ」
「そうなんです」
「で、その子が凪の事を嫌ってるみたいで、難儀してる、と」
「ええ、まあ……」
「……」

ため息をつきながら答える凪を、なにやら考え込む様子で晃がじっと見る。
凪はそれに気づくと、

「何です?」

首をかしげながら訊いた。

「いやあ……。この世の中に凪を嫌う女子高生がいたことに驚いて」
「……どういう意味です?」
「いや、だって凪学校では女子によくもててるだろ」

晃のその言葉に、凪は少し渋い顔をすると、数秒間を空けて、

「――人には好みがあるんですよ」

と言った。

「好みねえ……」

晃はそう呟くと、ずいっと凪に顔を近づけた。
そして、凪の両頬をぐっと持つと、

「でも大体この顔で迫られたらどんな子でも落ちると思うけどな――あで」
「……」

そう言ったシグマの頭に瓶がぶつかる。
ちなみにぶつけた――念のために言っておけば、投げたので無く、手近にあったそれを手に持ってそれで軽く殴っただけだ――凪だ。
凪は軽くため息をつくと、

「別に好きでこの顔になったわけじゃ……」

不満のような声でそう呟いた。
その言葉に、猫が少し首をかしげるような動作をして、晃は、

「その顔のどこに不満があるんだよっ」

驚いたように、もう少し言うならやや怒ったように言った――むしろ叫んだ。

「別に不満があるわけじゃないですけど……」

凪はそう言って言葉を濁すと、冷めた紅茶を一気に飲みほした。
そして、軽く息を吐いた。





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