epilogue


――姉さんの結婚指輪僕が作ってあげるよ!
――あら、本当?
――あ、信じてない。でも絶対作ってあげるから。
――約束!!絶対に、
――そうね、楽しみにしてるわ。

「――澄」

数日後。
直美は真っ白い壁に包まれた部屋で同じように真っ白いドレスを着て、左手の薬指にはまっている指輪を見て呟いた。
木で出来ているそれは、直美の指にぴったりとなじんでいた。
中心の部分には透き通った緑色をした宝石がはめられている。

――コンコン。

「はーい」

優しく叩かれたノックの音に、直美は返事をした。その返事の後、ほんの数秒間を空けて扉が開いた。

「――こんにちは」
「、来てくれたのね!」

あらわれた人物に、直美はにこりと笑った。

「ええ。でも蔵の掃除を要に内緒でサボってきたのであまり長居は出来ないんですけど」

凪はそう言って肩をすくめた。それに直美はクスリと笑った。
それに応えるように凪も笑みを浮かべて、ふっと、直美の左手に視線を滑らせた。

「それが、弟さんからの結婚祝ですか?」
「ええ。そうなの」

直美はそう言って、嬉しそうに笑った。
凪もつられて笑う。

「――エメラルド、ですか」
「そうらしいわ。あまり詳しくはないのだけれど……」
「希望ですね」
「?」
「エメラルドの宝石言葉ですよ。希望や幸福等らしいです」

ぴったりですね。
そう言って、凪は微笑んだ。

――絶対に、姉さんにぴったり合う指輪つくってあげるから!

「そうね。本当にそうだわ」

直美はそう呟いて、嬉しそうに、優しく微笑んだ。





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