cache-col | ナノ
6限目の屋上は、今日も青空に恵まれ心地がいい

あの日変な先輩に出会ってゲームを攻略させられて、2週間経った。その間にわかったことは、あの先輩が2年で、実は髪が長いということだ(真正面からはわからなかったけど、後ろで小さくまとめていた)。
実際下ろしたところはまだ見たことがないのでわからないが、結構な長さになるんじゃないだろうか。


俺は少し、先輩にあの女を重ねていた(っつっても最近わかったんだけど、俺あの女の顔はっきり覚えてねえ)。
もしかしたら先輩があの女だったんじゃないかっていうぼんやりした不確かな思いが、俺の脳からあの女との出来事を薄れさせていったんだ。
もう、探さなくてもいいんじゃないかって心のどこかで、思い始めていた。
 
「あ、来た来た。じゃあさっそくここお願いね」
「またすか、自分でやんなきゃ意味ないと思うけど」
「それは勉強だけだよ。ゲームはいいの」

なんかもっともらしいことをいいながら、ずいっとゲーム機を差し出してくる。俺、このゲームの3割くらい攻略してんじゃないだろうか。まあ、今後の展開が気になるので文句は言わないが。
俺が主人公(なんか金髪のくせにえらく正義感の強いバカ)を操作している隣で先輩は攻略本片手に画面を覗き込んでいる。その距離の近いことなんのって。

ふと、視界に入る先輩の丁寧に折り畳まれた髪が気になった。

「先輩、いっつも髪くくってるんすか」
「え、ああ まあね」
「取らないんすか?」
「これはね、封印なの」
「は?」
「 封印なんだよ」

噛み締めるように、半ば自分に言い聞かせるように先輩は遠くの方を仰ぎながら呟いた。その寂しそうな顔も、すぐにいつもの笑顔に戻ってゲームの続きを催促してくる。なんなんだと思いながらも、今日も主人公は得意の剣を振るう。


 
(先輩、セーブポイントどこ?)
(そこ左…あ、じゃなかった右!)
(だいじょうぶかよ)

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -