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でも大丈夫、会えるような気がしてたから

「ちゃんと置いてるんだね、マフラー」
「ん、あ、ああ。だって先輩からの初めてのプレゼントだし」
「こんなのプレゼントっていわないよ、 捨てて」

俺の部屋のベッドに座り、ゲーム機片手に先輩は頬を膨らませた。俺は持ってきた麦茶を適当に置いて先輩の隣りに座った。

4月がやって来て、俺たちは1つ学年が上がった。先輩は相変わらず塾で忙しそうにしていたけど、1日に2回は必ずメールをくれる(まあ、たいていは おはよう と おやすみ だ)。

「や、っすよ。この K はもときのきのKなんすから」
「バカっ、 Mで編み直すっていってんの!」

先輩は膨らませた頬を赤らめて俺から視線を外した。恥かしいのだろうか。俺はそんな先輩が愛しくなって、そのまま後ろにゆっくりと押し倒した。やめてと呟くものの、先輩は抵抗しないし顔なんか笑ってる。

キスするとくすぐったそうに身をよじって、なのに心地良さそうにもう1回して、なんてかわいいこといってくる。

「あ、ねえ先輩。ゲームのヒロインさあ、どこ行ったら見つかんの?」
「んっ、…だいじょうぶだよ。ラスボス倒したらちゃんと、帰ってくる」

あの、雪が吹雪いてた日、俺が先輩に出会ったのはきっとこのゲームの主人公とヒロインみたいに 定められたものだったと 俺は思うんだ。まあ、例えそうじゃなかったとしても別段気になんてしないんだろうけど。
それでも俺は、先輩がマフラーをぐるぐるに巻きつけた相手が俺であってよかったって、心から思う。
強く強く惹きつけられるようななにかが、確かにあったんだ。

でも大丈夫、会えるような気がしてたから

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