紅いアネモネ | ナノ
頭が重い。
ゆっくりと瞼を開けると、見知らぬ部屋のベッドに横たわっていた。おかしい、わたしはついさっきありったけのマナをゼロスさまに送り込んだはずなのに、それなのに生きているなんて。
長く息を吸うと、体内が忙しなくマナを循環させているのがわかる。
やはり、どう考えてもわたしは生きている。

機械音がして、ゲートが開くと見慣れた姿が部屋へ入って来た。

「…無様だな」
「ユ、アン…」

呆れたように笑うと、傍の椅子にユアンは座った。本物だ。どこからどう見ても、古い友人そのものだった。

「久しぶり、ユアン」
「お前、自分の状況がわかっているのか?」
「わたし、どうして…」
「神子がお前を抱えて文字通り飛んで来たんだ。私は近くに待機していたからな。名前を頼む、とあいつは頭を下げた」
「ゼロスさまが?まさか」
「そのまさかだ」
「…そっか」
「ずいぶん懐かれたようだな」

ふ、と笑みを見せる。そうか、ゼロスさまがわたしを。

「ありがとう、ユアン。わたしまだ生きてる」
「当たり前だ。お前にはまだ生きてもらう」
「うん、…そうする」
「…少し眠れ。まだ危ない状態なんだからな」

そう。じゃあ、もう少し眠ろうかな。
気だるさに返事もできず、わたしは眠りに落ちた。
次に意識が浮上したときはもう死んでるかもしれない。ああでもこのクルシスの輝石がある限りは、生き続けちゃうんだっけ…もう死んでもいいやって思ったときは、そのときは、彼に壊してもらいたいな。
きっとまたあの泣きそうな顔、するんだろうな。
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