▼ 米

美味しそうにハンバーガー頬張ってるあなたが大好きよ。だけどそれとこれとは別物だと思うの。ああほら、食べカスがこぼれてるわ。
しっかりしてよ、アルフレッド。

「名前。君はいつもそうだな」


隣に座っていたアルフレッドが覗きこんできて視線がかち合う。ああ綺麗な青い瞳。わたしのものとは違う色。

「俺が隣にいるっていうのになにを考えているのかさっぱりだ」
「あなたがそれを言うの?」
「どういうことだい?」
「わたしは、あなたの方がわからないわ」
「どうして?」
「だって、」

だって。
言葉に詰まった間もアルフレッドはわたしから目をそらさなかった。それでシェイクを啜ってなければ完璧なんだけどなぁと言いたい言葉はしまっておく。

「アルフレッドはみんなのヒーローだもの」

あなたの存在を眩しいと感じないことがないくらいに。
わたしの視界にあなたが映らないことがないくらいに。
だから時折わたしは逃れるように俯いたり、目を背けたりしてしまう。
それなのに、そのたびあなたはねじ込むように入ってきて、さもそれが自然であるかのようにわたしの肩を抱いた。
温かくてその大きな手のひらで。

「確かに俺はみんなのヒーローだけど、」

あなたのその、ヒーローを発音するときの唇が好きよ。ヒーローを語るときの眼差しも、熱意を伝えるための身振り手振りも、すべて。
わたしにはない、わたしのこのちっぽけな体にはそんな素敵なものは備わっていない。憧れて憧れて仕方ない、キラキラした宝石のような瞳。

「その前に君だけのアルフレッドなんだぞ」

だからそんな風に寂しそうにしなくていいんだ、とアルフレッドはわたしの頭をぽんぽんと叩いた。もしかしたらハンバーガーのカスが乗っかったかもしれない。でもそんなの今はいいや、あとでお風呂入ればいいし、…ね?
照れくさくなってアルフレッドの肩にもたれかかるとほんのりと温かさが伝わった。
あなたはどこもかしこも温かい。わたしを安心させてやまない。
あなたはわたしのヒーローで、いつかこんなわたしでもヒロインになれるだろうか?
あなただけのたった一人のヒロインに、いつか。


世界は2人とヒーローのために
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