▼ カノンノとエステル

!)男ディセンダー(マイソロ2)
!)トライアングル(僅かにユーリ)
!)カノンノ落ち

「##name_2##、モンスターの討伐依頼が来ているのですがよければ私と一緒に行ってくれませんか?」

ホールで愛剣の手入れをしていたとき、たたっと可愛らしく駆け寄って来たエステルがオレにそう声を掛けた。
なんでもバンエルティア号が停泊中のこの地域で最近活動が活発になっているモンスターの討伐なのだと。近くには村もあるし放ってはおけない依頼だ。
エステルのように正義感の強い人ならばなおさらだろう。

「ああ、すぐに用意する」
「ありがとうございます!」

愛剣を腰に差して椅子から立ち上がるとエステルは嬉しそうに準備して来ますねと踵を返して行った。
ふとホールに現われる桃色がある。やけに早いなと目を向けるとエステルではなかった。

「あっ、##name_2##…!」
「カノンノ。どうかしたか?」

カノンノだった。オレを見つけるなり満面の笑みを向けてくれる。傍まで駆けて来るとあのね、と興奮を抑えきれないような表情で ちょっと付き合ってほしいんだけどいいかなと見上げてくる。

「ああ、今からはちょっと」
「##name_2##!お待たせし…」

ムリなんだ、と言おうとしてかぶったエステルの声が中途半端に詰まった。オレが誰かと話しているなどとは思わなかったんだろう。

「あ、ごめんなさい、お話し中でした?」

大きな盾を胸元に抱いて申し訳なさそうにエステルはカノンノを見た。カノンノはカノンノで驚いたのか あ、としか言わない。ほんの少し、戸惑いの中に悲しそうな色が浮かぶ。

「ごめんカノンノ、今からエステルとモンスター討伐に行って来る」
「あ、そ、そうなんだ」
「終わってからでもいいなら付き合わせてくれるか?」
「ん、…ううん、大した用事じゃないから!ごめんね」

胸の前で両手をブンブンと振るとカノンノはじゃあねと駆けて行ってしまった。
残されたエステルがおろおろとオレとカノンノが出て行った方を見るので、とりあえず行こうかと肩を竦めた。


戦闘中、一瞬見えたカノンノの悲しそうな顔が脳裏に焼き付いて離れなかった。それはエステルも同じだったようで、途中何度か危ない場面が目立った。幸いオレもエステルも魔法剣士だから前衛も後方支援も事足りはしたが、なんともぎくしゃくしたものだった。

「平気か?エステル」
「はい…すみません、足を引っ張ってしまって」

移動中エステルはずっと俯いたままだった。オレに依頼を持って来たときとは大いに異なった表情。オレ以上に見ていられなかったので、もう気にするなと声を掛けた。エステルはそれに力なく笑っただけだった。


夕飯時、食堂でオムライスを頬張っていたら隣りにユーリが座った。手にはプリンがある。

「あれ、ユーリ飯は?」
「食堂が込む前に食った。これはデザート」
「ふうん」

スプーンでひとくちサイズに切ったオムライスにケチャップを塗りたくって無造作に口に運ぶとちり、と収まることのない鋭い痛みがある。どうやら依頼中に歯で切ってしまった個所があるらしかった。

「眉間に皺寄ってんぞ」

スプーンを咥えたまま、ユーリがオレを覗き込みおもしろそうにそう言った。その声に少しむっとしたので返事はしないまま咀嚼を続ける。

「今日、エステルと討伐行ったろ」

スプーンが皿を引っかく音。誰かが誰かと談笑する声。動かされる椅子の軋み。その中にごくんとオムライスを飲み込む自分の喉の動きが、目障りなほど目立った気がした。

「ああ。行った」
「で、どうだった?」
「首尾よく完遂できたけど?」

実際、戦闘はぐだぐだ感が否めなかったがオレはそう答えた。ユーリはやはりにやにやと笑いながらふうんと相槌を打ち、プリンを頬張る。

「このプリン、昼間にカノンノが作ったんだけどよ」

ごくん、とまた喉がうるさく鳴る。
なんだ、今の。
ユーリに悟られたくなくて水を一気に呷るとやはりそれが逆効果だったようで、今度は笑い声がはっきりと聞こえた。

「お前さ、どっちが本命なわけ?」

ごくん、
(やべ、喉が痛くなってきた)
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