▼ ラディッツ
ポッドから下りてすぐ、医務室にも行かずに足早で駆け抜ける。もう夜遅いというのに通過点である酒場は賑わっていて、何度か人にぶつかりそうになりながら目当ての場所に辿り着く。
ドアの前で呼吸を整えるために深呼吸をして、教えてもらったパスで鍵を解除した。
「ラディ?」
部屋の中は真っ暗だった。いないのか、それとも寝てるのか。もしかしたら通って来た酒場にでもいたのだろうか、と半分気持ちを落胆させながら簡素なベッドへと向かう。
「あ、」
暗闇の中でも布団がこんもりとしているのがわかって、無意識に頬が緩む。
そっと布団をめくってみると枕に顔を押しつけて眠るラディの姿が確認できた。寝苦しいのか幾分か眉間に皺を寄せている。
たった4ヶ月離れていただけなのに、それでも何百年も会えていなかったかのような懐かしさが溢れて来て、今にもラディを叩き起して抱きしめたくなった。
「ただいま」
だけど思うだけで、その髪にそっと手を乗せる。起きてからいっぱい相手をしてもらえばいいや。起こさないように優しく撫でるとラディの寝顔が幾分か柔らかいものになったような気がした。
「おやすみ、ラディ」
撫でる