狩屋


『お帰り会』の時、狩屋はある一点から目を離せなかった。

「ん?どーした狩屋」
「別に?なーんでもないですよ」

そう言いつつも狩屋はルーン親子から目を離さなかった。

―フェイが『捨てられた』って言った時、あ、一緒だ、って思った。

分かってた。

父さんがどういう状況だったのか。

分かってた。

父さん達は俺を守る為にお日さま園に預けたという事も。

でも理性では分かっていても心が追いつかない事はざらにある事で。

どうしても、俺は父さんと母さんの事を許せなかった。

けど、いきなり見た事もない自分の子を守ってくれと言われて戸惑っただろうに惜しみなく愛情を注ぐ黄名子の姿を見ていると、

一度は捨てたもののやはり捨てきれずに自身の全てをかけて陰ながらフェイを見守っていたアスレイさんを見ていると、

(…父さんと母さん、今どうしてるのかな…)

少しだけ、二人を許せる気がした。

自分にもいつか来るのだろうか。

いつかのように家族3人で笑い合える日が。

いつか、来るといい。

そう、願う。



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