ガル
「ハイ、今日から皆これ着てね」
「「「え?」」」
ガルのメンバーが各々で寛いでいる時だった。
どこかに出掛けていたユウチがバン!と勢いよくドアを開けると大量の包みを持ってきた。
渡された包みをフェイが戸惑いながら開けるとそこにはオレンジ色のベストがあった。
「これ…」
「全く…大変だったんだよ、全員分のベスト集めるの。今日から今のユニにこれ着てね」
ユウチがドサッと荷物を置きながら不機嫌そうに言った。
「いやそうじゃなくてなんで急にベストなんか…」
「…じゃあフェイは許せるのか?」
「え?」
「俺達のユニが他の奴らと違って…只のモノクロな事にだよ!!」
「ユ、ユウチ?」
「そんなの俺の美意識が認めない…というか認めてたまるか!!…安心しろよ、ちゃんとサルには許可もとってる」
「そ、そうなの?」
「あぁ。俺が今のユニが不満だって言ったら『ふーん…好きにすれば?』って」
「あ、そう…」
ユウチは割りと外見に気を遣う。
そんなユウチにとって今のユニは不満だったのだろう。
かといってそれでサルに直接交渉しにいくのは恐れいるが。
不安そうだったフェイもその言葉を聞くと脱力したようだった。
「それにほら、皆も喜んでるしいいだろ?」
そう言われてフェイが辺りを見回すと皆このベストが気に入ったようだ。
フェーダには女子もいる。
やはり今までのモノクロだけのユニじゃ不満だったのだろう。
「ま…皆が喜んでるならいいけどね…でもユウチ」
「ん?」
「なんで皆赤いベストなのに僕だけオレンジなの?チェット達はGKだから色違いなのは分かるけど…」
「そりゃ君がキャプテンだからだろ」
「え、」
「君は俺達にとって特別だ。…色んな意味でね。だから一発で君だという事が分かるように君だけオレンジなんだよ。いつもキャプテンマーク付けてる訳にもいかないしね。…嫌だった?」
「ううん、そんな事ないけど…」
「そ?ならいいけど」
そう言うとユウチは皆にサイズ大丈夫かー?と聞き回っていた。
「あれ、フェイ、どうしたの?なんか嬉しそうだけど」
「いや、なんでもないよ。それよりローコ、せっかく貰ったんだからケーキで汚しちゃったりしちゃだめだよ?」
「わ、わかってるわよ!!」
そう軽くローコをたしなめて軽く頭をポンポンと叩くとフェイが皆の輪から外れた。
―皆とのおそろいが―
―“トモダチ”みたいだって思ったのは僕だけの秘密だ―
フェイは緩みそうになる口元をベストで隠した。
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