蘭(ジャン)+拓(勝)


*フランス編後

「なぁ神童、お前もタイムジャンプ先で出会った豆腐屋の娘が好きだったのか?」

帰り道、唐突に俺が聞くと神童は目を丸くした。

「どうしてお前が…」
「茜に聞いた」
「………」
「好きだったのか?」

神童は目を伏せて悲しそうに言った。

「…俺が自分の気持ちに気付いたのかお勝さんと離れてからだ」
「………」
「お勝さんは俺に言ってくれた時、俺は自分の気持ちに気付いていなかった。…彼女の思いに応えてあげれなかった…っ」

神童の目から涙が零れた。
俺は神童を抱き寄せた。

「…俺もジャンヌが好きだったよ」
「!」
「けれど伝える事が出来なかった。…彼女の歴史を変えてはいけないから」

方や別れてから自分の思いに気付いた者。
方や傍にいるにも関わらず思いを伝える事が出来なかった者。
不幸なのはどちらだろう。

「俺達馬鹿だよな、過去の人に恋をするなんて。」
「霧野…」

いつの間にか俺の方が神童にすがっていた。

「『だった』んじゃない。今でも彼女が好きなんだ。…初恋だったんだ…っ」
「…っ俺もだよ…」

神童が背中を擦ってくれた。
俺達は互いに涙を流した。


どうして彼女に恋をしてしまったのだろう。
叶う事はないと知りながら。

「「彼女に会いたい」」

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