黄名子※


「菜花さん、生まれましたよ。元気な男の子です。」

あぁ、やっと会えた。

愛しい愛しいあの人と、うちの血を分けた唯一の子。

あの人にそっくりやんね。
でも目元はうちに似てるかも。

まだちっちゃくて、見た瞬間うちが守らなきゃ、って思った。

なのに。

「先生!!急に心拍数が下がり始めました!!」
「なんだって!?」

ごめんね。

うち、もうダメみたい。

もっといっぱいこの子と一緒に居たかった。

この子にいろんなことを教えていきたかった。

あの人と一緒にこの子が日に日に成長していく姿を見たかった。

なによりも、あの人と一緒にこの子を沢山、沢山愛してあげたかった。

「先生!!」
「くっ…!!」

ごめんね、一緒に居られなくて。

でもね、これだけは覚えていて欲しいやんね。

うちはずーっと、ずーっと、あなたのこと見守ってるやんね。

例えどんな手段を使っても。

「愛してるやんね、フェイ。」


アスレイ、フェイのこと頼むやんね。

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