2012.4.26〜8.2

 
※孝之視点






仕事中、パソコンの横に置いていた携帯が震えた。
反射的に携帯を手に取り開けると、遊馬からの着信だ。

思わず笑みがこぼれる。

時計に目をやると16時。
今日は早いな、と思いながら電話には出ないまま机に置いた。

「出なくてよろしいのですか?」

隣で見ていた秘書が不思議そうに尋ねる。

「私用の電話だ。問題無い」


今頃あいつは家で必死に我慢をしているのだろう。
俺が許可を出してくれることを望んで携帯を握りしめ、電話に出ないことに絶望していることだろう。

そんなことを想像し笑みを浮かべると、秘書はますます不思議そうに首を傾げた。




次にまたかかってきたら出てやるとしよう。






それまで我慢できたらの話だが。



‐END‐

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