行っちゃだめ2
「ごわごわする…」
結局俺はオムツを付けられてショッピングモールに来ていた。
「大丈夫、スリムタイプだから見た感じ分からないよ」
「そういう問題じゃねぇ!」
歩くとわずかにカサカサと音がして周りに聞こえてないかと気になる。
しかししばらく歩き周ってみると他人から特に視線を浴びることも無く、1時間もすれば全く気にならなくなった。
「あ、ここの服見たい!」
GWということで賑わっていてイベントやセールも行われていて楽しい。
俺は次々と行きたい店を回り、亮介は何も言わずニコニコと若干気味悪い笑みを浮かべながらついて来てくれた。
俺から誘ったとはいえ亮介は行きたい店は無いんだろうか。
もしかしたら連れ回してばかりで楽しくないんじゃないか。
そう思い俺は亮介に向き直り尋ねた。
「亮介はどっか行きたいとこ無いのか?」
「俺?俺は別に和也が楽しければいいよ」
浮かべる笑顔は確かに楽しそうではある。
しかし言葉だけ聞くと優しく聞こえるが、表情は虐める時の明らかな黒い笑みが見てとれた。
「これから楽しくなるし」
嫌な予感しかしない。
黒いオーラが広がり身震いした。
「そろそろ…トイレ行きたくない?」
言われてみれば少し行きたいかもという程度だが。
ここでまさかという考えが過ぎる。
「ちょっと行きたいけど…」
「行っちゃだめ」
語尾にハートが付きそうなほど可愛く、しかし有無を言わさぬ雰囲気できっぱりと言い放たれる。
「いや、だめって…」
朝に言っていたお仕置き。
それはオムツを付けて恥ずかしがる俺を楽しむだけかと思っていた。
他人から見えないところで幼児のような格好をさせた上で、常にカサカサと音をたてるオムツで俺の羞恥心を煽るのが楽しいのかと。
そしてそのお仕置きは慣れてきたため余裕だなと思っていたのだが。
「トイレには行っちゃだめ」
俺が考えていた以上に亮介は変態だったようだ。
「というか、行く必要無いよね」
亮介の腕が回ってきて、俺の尻をポンッと軽く叩いてきた。
「これ、あるんだし」
自分でも分かるくらいに顔が引き攣り、サーっと血の気が引いていく。
つまり。こいつがやろうとしているお仕置きとは。
「この中に漏らして、ね?」
まじか。
「いやいやいやいや!」
亮介の腕を振り払ってズザザッと後ろに下がり、全力で首を横に振った。
「無理無理無理です!」
全力で拒否する俺を完全にスルーして、亮介は俺にツカツカと近づき腕を取って歩き始める。
「1階のカフェでコーヒー飲もうよ」
「いや、あの…」
引き離そうと抵抗を試みるが、けっこうな力で捕まれている上に笑顔がかなり怖い。
そのまま引きずられるようにして、俺は亮介が今日初めて行きたいと言ったカフェまで連れて行かれるのであった。
[ 17/59 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]