少しだけ2

  
今日の晩御飯はハンバーグだ。
材料を冷蔵庫から取り出し、混ぜるためのボールを用意する。

これだけの事をするのに、かなりの時間がかかってしまった。
というのも、すでに尿意が限界なのだ。

「ぁ……」

前屈みになり前を押さえ腰を揺らす。
こんな状態で料理ができるわけがない。


俺は意を決して孝之に電話をすることにした。

リビングに戻ってケータイを取り、発信履歴から孝之にかける。




プルルルル…プルルルル…
プルルルル…プルルルル…


なかなか出てくれない。
やはり忙しいのかと思い切ろうかと悩む。
しかし限界の尿意をこれ以上抑えていられない。

「孝之…早く…」

そう呟いた時だった。

『もしもし』

「あ、孝之…」

やっと出てくれたことに少し安堵する。
と、僅かに力が緩んだのか、じわっと前を握る手が暖かくなった。

「ぅあっ…」

少しちびってしまったみたいだ。

『どうした、漏らしたか?』

「ちがう…もう無理」

『我慢しろ』

簡単に許しが出ないことは分かっている。
しかし本当に限界なのだ。

「無理…お願い、出させて」

『駄目だ』




何度お願いしても駄目だと冷たく突き放される。
そうこうしているうちに、限界はどんどん迫ってくる。

「あっ…無理、もう、ぁあ…」

『……………』

「許して、うぅ…」

必死にお願いするが、孝之はもう返事もせず黙ってしまった。

 
「ほんと、無理っ…お願い…」

『……………』

「出るっ…ぅ…」

『仕方ないな…』

やっと孝之が返事をしてくれた。
やっと許可をくれる。

「じゃあ…」

『少しだけだ』

「…え?」

『少しだけなら許可する』

どういうことだ。

『食器棚に使っていないグラスがあるだろう』

「うん…」

『持って来い』

グラスなんかどうするんだろうか。
わけも分からないまま、なんとか食器棚まで行きグラスを取り出す。

「持ってきた…」

『それ1杯分だけだ』

「え?」

『そのグラスにしろ』

つまりこのグラスの中に放尿しろということか。



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