少しだけ1

 





「やばいなぁ…」




いつものように孝之が仕事の間、俺は家事をこなしていた。
当然、今日も孝之からトイレ禁止令が出されている。
夕方頃になるとトイレに行きたくて動きにくくなるので、なるべく午前中に掃除や洗濯は終わらせる。

しかし今日はいつもより尿意が来るのが早かった。
昼に洗濯物を取り入れる時には、けっこう行きたくなっていた。
まだ我慢できないほどではないが、普通ならトイレに行くだろうなというくらいだ。
特に水分を多く取ったわけじゃないが、昼ご飯の時に飲んだコーヒーがいけなかったのかもしれない。

「はぁ…」

廊下の途中にあるトイレのドアを見つめ、思わず溜息が出る。
今までの経験でいくと、この時間でこの尿意は非常にまずい。
しかもこういうことを考えれば考えるほど尿意が高まるのが早い気がする。
時計に目をやるとまだ3時。
孝之が帰って来るまで、まだ5時間ほどある。

「まずいなぁ…」

どうしても我慢できなくなった時は電話をしろと言われているが、仕事の邪魔になるだろうし、それ以前に恥ずかしいのでなるべくしたくない。

とりあえず今からは水分を控えて堪えるしかないのだった。

家事が全て終わると、あとはもう晩御飯の支度まで自由な時間。
ソファーに座りテレビをつけてみるが、もじもじと揺れる腰を止めることができなくなっていた。


テレビでなんとか1時間ほど時間を潰したが、さらに尿意は迫ってきている。
漏れそうというほどではないが、けっこうやばい。
気を紛らせようとテレビを見るが、この時間の番組はどれも面白く無い。
本でも読むかと思い立ち上がると、腹にズンと重さを感じ足を擦り合わせてしまう。
本棚から適当に何冊か取ってソファーに戻り、なるべく振動を与えないようにそっと座る。

「う……」

座ると腹が圧迫され、思わず足を組んだ。
そのままソファーに押し付けるように腰を揺らしながら、なんとか本に意識をやり堪える。




















どれくらいそうしていただろうか。

もう本の内容なんか全く頭に入らず、ついに閉じてテーブルの上に置いた。

「ぅ……」

自分一人しかいないのを良いことに、恥じらうこと無く思いっきり前を押さえる。
尿意はかなり強くなっていて、気を抜くと漏らしそうだ。

でもまだ限界ではない。
まだ我慢できる。

そう言い聞かせ、俺は晩御飯の支度に取り掛かった。

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