風呂にしよう2
「あー…トイレ…もう…うぅー…」
ぶつぶつと自分でも意味の分からないことを呟きながら、腰を引き片手で股間を押さえ、もう片方の手でカレーを混ぜる。
この欲望を出せるのはいつになるだろう。
早くてもご飯を食べた後だ。
食べ終わってすぐにさせてくれるだろうか。
「調理しながらそんなところ触るな汚い」
いつの間にか後ろに孝之が立っていて、煙草に火をつけながら言う。
「でもっ…」
「でもじゃない、手を離せ」
「ッ……」
そっと手を離したがやっぱり急激に辛くなる。
激しく足踏みをして何とか堪えたが、ちょっとちびったかもしれない。
「用意できたら呼んでくれ」
そう言い残すと孝之は着替えるため自分の部屋に戻った。
「…ッ!」
それを確認すると直ぐさま股間を押さえる。
結局そんな状態でカレーを温め続けた。
「いただきます」
「い、いただきます…」
やっとの思いで完成したカレー。
あと適当に盛りつけたサラダが今日の晩御飯だ。
「うん、美味い」
「……………」
俺はもうカレーの味なんか分からない。
食事中も股間を押さえると怒られるので、イスに押し付けるように腰を揺らしながら、黙々とカレーを口に押し込む。
「ぁ……ッ」
突然強い尿意の波が襲ってきて、思わず股間を押さえてしまう。
「こら、離せ」
孝之の命令は絶対だ。
しかし今手を離せば本当に出てしまう。
「も、無理ぃ…」
「離せ」
冷酷な孝之の声。
俺はこの人には逆らえないのだ。
「う……はい…」
尿意の波が少しおさまり、なんとか手を離す。
「離し、ました…」
「良い子だ」
そうやって褒めたりしてくるから、余計に逆らえないんだ。
そしてまた黙々とカレーを腹に詰め込む。
特に会話は無いまま、食事は進んだ。
[ 32/59 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]