更に続きの続き   2013/09/04 20:18

ミーティングの終わりにキヨタカが言った。
「そろそろ期首面談の時期だ」
続けて何かを言っているけれど、頭に入らない。
良く通る声が心地好く眠気を誘う。
両隣の体温が温かくて本当に眠ってしまいそうだ。
「――最初は、そうだな。オミからだな」
名前が聞こえて目を開ける。
「聞いていたか?」
「……聞こえてたよ。面談。いつやるんだ?」
「可愛いげがない」
「それはどうも」
「お前、結構嫌な生徒だっただろう」
「まさか。品行方正、スポーツ万能、頭脳明晰、性格も明朗快活な人気者で先生方の信頼も厚くスクールカーストの頂点に立っていたよ。カゲミツは最下層以下の不可触民」
「ちょっ、てめっ俺は関係ねーだろ!?」
「ああ、そういや友達居なかったよな。いつもぼっちだった」
「ヒカルまで!」
「カゲミツ、涙を拭け」
「泣いてねーし!! ってかヒカルだって友達いなかっただろ!? 知ってんだからな!?」
「悪いかよ! 今だってお前以外の友達いねーよ!」
「俺だってお前以外の友達なんか未だに非実在だし! つか言っとくけどあの頃の俺にはオミがいたからな! 一方的に友達づらされて正直死ねって思ってたけど、おかげて班分けで困った事ねーよ!」
「はあ? 俺だって取り巻き連中いたからな! 困った事ねーよ! それに今もあの頃も俺にはネットの同士がいるから!! あとキヨタカ居たし、お前みたいなマジぼっちじゃねーし!!」

黒歴史の暴露合戦を無視してキヨタカが話を続ける。
「俺はいつでも良いが」
「俺もいつでも良いよ」
「なら今日、時間外でも良いか?」
「オーケー、じゃあそれで」

部隊の連中が不安そうにこちらを見ている。
ユウトなど、「二人とも友達いなかったなんて淋しくて可哀想」なんて涙を浮かべている。
元気付けたいのかナオユキは懸命にプロテインの良さを語っている。
馬鹿か。
タマキとカナエは言い争いが始まった時点でいちゃつき始めていた。
カナエはさておき、タマキはリーダーとしてどうなのそれ。
あと最近たまに何か言いたそうな目で見るのやめてくれないかな。
カナエが鬱陶しいんだ。
まあ、お前に言われたところで何も喋らないの解ってると思うけど。

「ヒカル君もカゲミツ君も、僕らの事友達じゃないって思ってたんだ……」
アラタがポツリと言う。
「僕たちの事どう思ってるんだろ…」
まあ、ショックだろうね。
模範解答は分かるけど、ここでの俺の役はそれを言うキャラクターじゃない。

面倒だから何とかしろ、とキヨタカを見て顎をしゃくる。
タマキの役立たずめ。
ここで適当に前向きっぽい良い感じの事を言ってまとめるのがお前の役割だろう。

キヨタカがアラタの傍に座って頭を撫でる。
「ヒカルもカゲミツも皆の事は大事な仲間だと思っているんだ」
「でも友達じゃないって…」
「それくらいじゃ関係は崩れないって信じてるから言える事だ」
「そうかな…」
「ああ。あの二人を見ろ。あれが罵り愛だ」
「……そうだね」
まだ言い争いを続ける二人を見て半ば呆れたようにアラタが言う。

はい、見事に模範解答。
大丈夫、アラタはこれで騙されてくれる賢い子だ。

あとカナエ。
盛りがついた犬かお前は。
いっぺん男として死ぬと良い。
タマキは抵抗しろ。


さて、今日も元気に任務に行こうとしよう。



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