自力まとめ4。オミヒサ前提のオミタマ?タマキ視点。   2012/08/25 19:25

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いつもは諜報班の間に無理矢理座るかつての宿敵の首班が今日はいない。部隊に配属された当初は荒れていてどうなる事かと思っていたが、最近は落ち着いて随分と馴染んだようだ。カゲミツ以外にはまだあまり話しかけないが。しかし警戒心も薄れてきたのか、たまに彼の従者の名前で自分を呼ぶ。

慣れてしまえば、元々の能力の高さを見せつけるかのような仕事ぶりだ。身体能力もだが判断が的確で早く、視野が広い。先頭に立って指揮することもできれば一歩下がって全体のサポートに回ることもできる。そして何より人を動かす事が上手い。まさに上に立つのに相応しい人材だ。まあ、嫌味だけど。

何かと嫌味ついでに絡んできた。従者を亡くして悲しいから遊んで。そんな彼は悲しいとは口で言いながら、そんなに悲しんでいるようには見えなかった。虚勢を張っているのとも少し違う。言葉が上滑りしていた。自分は幸い近しい人を亡くした事がないので、彼が何を思っているのか検討がつかない。

元気そうならまあ良いや、と思っていた矢先。昨日の訓練中に彼は負傷した。外傷は大した事なさそうだが、様子がおかしかった。いつもはこちらが謝罪しよう物なら速射砲の如く嫌味を言われる。なのに一言の嫌味もなく逆に謝罪された。そして今日は気分が悪いからと休暇を取っている。心配だ。

カゲミツは普段喧嘩ばかりしている癖に、オミの事を良い奴だと言う。基本的には人間が好きで、嫌味なのは今更照れ臭いからだと。言われてみれば、確かに結果だけ見るなら、自分よりも他人を優先して行動している。嫌味は言うけど愚痴は言わない。彼が弱音を吐いたのは、後にも先にもあの時一度だけだ。

昼間弱い所を見せない彼は夜、独りの部屋で何を思っていたんだろう。眠れているんだろうか。彼が唯一弱音を吐ける相手があの従者だったのかもしれない。あの時も自分達ではなく、もう返事をしない従者に対して言っていたのかもしれない。帰りに様子を見に行こう。

何をしてるんだ?玄関を開けたオミに思わず問いかけた。何って見て判らないの洗濯中だよ。いやそれは解る。意外なだったけだ。スパロウでも家事とかするんだな。オミだよ。何当たり前の事を。自分以外の誰がやるのか居たら教えてほしいね。不器用な手つきで洗濯物を片付けながら、いつもの嫌味を言う。

部屋を見ると結構荒れていた。片付ける姿など想像できないのに散らかった部屋にいるもの想像できなかった。妙なところでやっぱり華族なんだと実感する。見かねて、手伝おうと声を掛けて勝手に片付け始める。やめろ、触るな。らしくない剣幕で怒鳴られた。

思わずごめんと謝ると、彼自身困惑した表情だった。お茶淹れるから座ってて。ソファを指差される。自分はダイニングのスツールに座る。ところで、彼は今日は体調不良で休んでいるんじゃなかったのか。見たところ元気そうだ。家事は慣れなくて大変そうだけど。問いただすとあっさり言われた。

気分が悪いって言っただろ。機嫌的な意味でだけど。ああ、俺の心配は何だったんだ。明日はちゃんと来いよ。お茶を飲み干し立ち上がった。玄関まで見送りに来るくせに顔を見ない。さっきは怒鳴って悪かったよ。君が一瞬ヒサヤに見えたんだ。そういえば、いつもは言うのに今日は一度も従者の代わりに構えと言わなかった。

おしまい!



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