自力まとめ3。オミヒサ前提のオミタマ?オミ視点。   2012/08/25 19:09

8/22

そういえば、とふと思う。喉が渇いた。階段を転げ落ち、倒れたまま天井を見上げた。部隊のリーダーに返り咲いた青臭い正義漢が駆け寄ってくるのが視界の端に見える。何の事はない。お互い飛び出すタイミングがずれただけだ。何度もバディを組んで大分癖が掴めたと油断したのか、この様だ。失敗だ。

焦った顔で覗き込まれた。怪我はないよ。訓練が中断して悪いね。手を振って助けを断る。いつもと同じ左後ろ。肩越しに僅かに見える黒髪を確認して飛び出したら、予想外の所にこいつがいた。ぼんやりと動かないでいると、隊長を呼んでくると慌てて出ていった。らしくないなあ。こんな失敗をするなんて。

まったく、実戦だったら確実に死んでいるね。すっかり鈍ったものだ。今日はグダグダだ。自分でも思っていた事をそっくり隊長に言われて苛々する。一々解っていることを説教をしないで貰いたいな。俺を誰だと思っているんだ?訓練を続けようとしたが、結局病院で検査をしたあとそのまま家に帰された。

部屋に着いて、ソファに身を投げ出す。喉が渇いた。部屋は朝出掛けた時同じで散らかっている。脱ぎ捨てた服や何日か前回収に出し損ねたゴミが溜まっている。おかしいな、もっと自分は綺麗好きだと思っていたんだけど。寝ようとしたベッドが整えられていないのが不快だ。そこまで思って、愕然とした。

一体、誰が、片付けると言うんだ?ここには自分一人しかいないのに。喉が渇いたと思っても誰も飲み物を持ってこない。散らかした服やベッドを誰も片付けてくれない。当たり前だ。ここには自分一人しかいない。ぞっとした。今日俺は誰と、タマキを間違えたんだ?そんな些細な事がきっかけで気付いた。

頭では解っていた。解っていたつもりだった。背格好のよく似た彼に、従者がいなくて淋しいから相手をしてくれなんて戯れ言を言える位には日常に馴染んで、立ち直れていると思っていたがそれは違った。本当は心に届いていなかっただけだ。そうか、彼はもう何処にもいないのか。あの日以来初めて泣いた。


身近な人がいなくなると、いつもいるところを無意識に確認して、アレ?って思って、癖になってるんだって気付いて悲しくなるよねー。



----------------









|


INDEX
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -