立ち並ぶビルの合間から空を見上げて
困り果てる


下界に降りてきたまでは良かったが、私はここに来たのは二回目
チョコレートが甘い食べ物だと言うことはわかっていたが、お金も持ってきたが









どこに売っているのかわからない








迂闊だった。
どうしよう、人間に聞くのは少しだけ怖い






「ねぇねぇ、君なにしてるの?うわっかっわいーいー」




とか思ってたら、また最悪な感じのに絡まれてしまったみたいで
深く深くため息が溢れる

この顔は、どうしてこの手の雄を引き寄せるをだろう……



「ねね、一人なら俺とデートしない?」

「ごめんなさい、私忙しいんです」

「そんなこと言わないでさぁ」



嫌がっても歩いて逃げても、腕を掴まれてついて来て
たくさんの人間が行き交う場所で力を使うことも出来ず、助けを求めてあたりの人間を見ても皆目をそらした



「やめて下さい」

「良いじゃん、ね?遊ぼう?」

「やっ」

「嫌がってるんだから離しなよ」





突然
雄の手を振り払い、私と同じぐらいのかなり整った顔の少女が私を引き寄せたそしてギロっと雄を睨んでて、美少女の睨みはドキッとするほど迫力があった

















「あ、ありがとうございます」

「ううん良いの。あなた凄く可愛いから、ナンパ男とかには気を付けないと駄目だよ?」

にっこりと微笑みながら、立ち去ろうとする助けてくれた少女の服を慌てて掴む
彼女は、とても清らかな女性に感じたから



信じてみたかった



「あの……チョコレートって、どこに売ってますか?」

「チョコレート?チョコレートはどこでも売ってるけど……バレンタインプレゼント?」

「は、はい」

「ならとっておきの店を教えてあげるね。ちょっと待ってね――――もしもしかぎり?ごめん、少しだけ―――」



四角い機械に向かい話していた彼女が機械をかばんにしまうと
はいっと手を差し出され、迷わず少女の手を取る

突然の私の質問にも、ドキッとするくらい無邪気な笑みを見せて付き合ってくれて
別れ際も本当に大丈夫?と仕切りに心配された


彼女はとてもかっこよくて、凛々しくて、素敵な女性だった……――――






















「それで一緒に買ったんですか?」

「はい!美味しいですか?」

「とても美味しいですよ……利虎殿もどうぞ?」

あーんと、優しい笑顔でチョコレートを差し出されて
ぱくっと食べると幸せな甘さが広がった


來兎様の膝の上で、素敵な女の子に会えた幸せに感謝しながら

大好きな來兎様にチョコレートのお返しに目一杯甘やかされた











『強く、優しい女性』








ハッピーバレンタイン!
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