「み、巳乃さんすみまっ………!?」

「あ、利虎殿。探しましたよ?仕事が早く終わったので迎えに参りました」

「來兎様すれ違わなくてよかったねぇ」


巳乃さんの社に戻るとそこには、愛しい愛しい彼が優しげな笑顔で佇んでいて
ヒクヒクと、ぎこちなく精一杯の笑みを返す


いつものように、そっと抱き寄せられるも私のひきつった笑顔はとけなかった

「利虎殿?どうかしましたか?」

「う゛ー……來兎様ごめんなさい………」


むぎゅうううとしがみつくと、軽く抱き上げられてとりあえず巳乃さんの社から出て來兎様の縄張りに連れて行かれる


「どうしたんですか?そんな悲しそうな顔をして」

「……來兎様への、バレンタインプレゼント…忘れちゃいました……」


恋人として、失格だ
しょんぼりしながら嫌われるのを恐れてしっかりしがみついてすがり付くと、優しく頭を撫でられる


來兎様は、いつものように優しく笑っていた



「僕は利虎殿がいてくれればそれだけで良いですよ。気持ちだけ有り難く頂戴しますね」




優しい優しい、大好きな人
情けなさ過ぎて涙を浮かべながら、彼の首にがっちりと全力でしがみついてごめんなさいと謝りながらさめざめと泣いた。泣きじゃくった










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