顔は普通。素行も普通。
特に目立つこともなく平凡な毎日を送るごくごく普通の大学生………のはずだった



「……っ……」

意味わかんねぇ意味わかんねぇ!!

ぎゅうぎゅうの満員電車のドアの近く
目の前には胸の谷間をがっつり見せたエロくてサングラスをかけたギャルの女の子がドア横の壁に寄りかかり携帯をいじって居て……痴漢とかわめきたてられたく無いから、俺は両手でつり革を持っていた

乗車してから二駅たったとき
その違和感はあった


初めは物が当たってるのかと思ったが………さわさわ、と触る手は明らかに CHI KA N !!

身動きも取れない状態でも必死に首を捻ると後ろには野郎しか見えない

ほ、ホモの痴漢!?悪いけど俺は女の子にしか興味はない!!


痴漢と間違えられないように両手でつり革を掴んでるせいで身動きが取れず、変態の手を捕まえることも出来ず

ましてや男に触られてるなんて回りの人にばれたくないから、ぎゅっと歯を食い縛り気持ち悪い感触に耐えていた


「……っ!!」


耐えてるのを良いことに変態はさらにエスカレートして、尻の谷間に手を滑らす形で……お、俺のジュニアを後ろからつついてきたああああ!?!?



もうパニック。まじ泣きそうになった俺の耳元には後ろからはぁはぁと荒い息づかい

きしょい、きもい、もうやだ

「……勘弁…」

ぼそり、と涙声で呟いても痴漢も回りの人も反応はしなかった…………いや、



一人だけ
サングラスで容姿は見えないが携帯を弄っていた俺の前の女の人がふっ、と俺を見上げた



ヤバい、ばれた、恥ずかしい……


もう涙腺がぶっ壊れそうになって視線を逸らす俺を彼女は、じーっと上から下まで眺めて




ふわ、と
抱きついて来た


へ?は?え?


狭い空間なのに俺の腰のあたりに手を回してがっつり抱きつく彼女
腹よりやや上のあたりにおっぱいが(ry 鼻血が(ry

「いてぇっ!!」


と、そのとき
野太い悲鳴とともに俺の尻を触り続けていた痴漢の手が離れた


え?もしかして



彼女が痴漢を撃退してくれた……


「悪いけどこれあたしのだから。触らないでくれる?」

ハスキーな、凛とした声が響くと
俺はそのまま彼女に引っ張られて、彼女を壁に押しつける形で半歩移動させられた



もう痴漢の手はおってこない


「あ、ありがとう」

「いえいえ」


けれど
ここで問題が生じた


痴漢から守ってくれた彼女の手は俺の腰にしっかり絡み付き
おっぱいは(ry だし
ふわり、と鼻孔を掠めた甘いかおりに………



大問題が生じた


戻ろうにも俺が居た半歩のスペースは運悪く電車がカーブしたさいに埋まり、抱きつかれた状態から離れられない


ムクリと、息子が起床あばばばば

恩人に痴漢をするとかふざけるなとは思いつつも、視界の下の方にはやっぱり彼女の胸の谷間


止まることを知らない息子さんは密着していたせいで………ズボンを持ち上げて彼女の下腹部に自己主張するようにすがりついた


あああああ、やめろよ馬鹿!!穴があったら突っ込みたい中坊じゃねぇんだから!!


「ご、ごめんっ」

離れたくてもマジ込みすぎてて離れられない

こんなことなら、変態痴漢の恥辱に耐えてれば良かった。俺最悪、俺の馬鹿バカばか!!

鎮まりたまえと思えば思うほど、息子は成長期を迎える

さっきとは違った意味で泣きたい。死にたい


ぎゅっと目をつむって、なるべく気をそらそうとしても脳裏には谷間が焼き付いて鼻孔を掠める甘い香りもなんら変化がない


そのとき


クスリ、と
小さな笑い声が聞こえた

「かわいいから、許してあげる」

掠める程度だった甘いかおりが強くなり
ハッと目をあげると、彼女は背伸びをしているのか俺のすぐ目の前にサングラスをつけた顔があった

あまりの近さに俺は気づかなかった

もぞもぞと彼女が手を動かしていたことに



グロスでてかてか輝く唇が蠱惑的な笑みを浮かべ
一瞬それに見とれていると




チチチチチ……


「っ!?」

「しー、ね?」


ゆっくり下ろされた社会の窓
温かで細い指に生で包まれる息子さん


「っぅ、あ……っ!!」



ある意味すさまじく美味い状況下だったのに


ひっじょーに情けないことに
色々と重なっていたために、俺は三擦り半で射精する中坊と同レベルの瞬殺で彼女の手を汚した……








「う、っく、っひくっ!」

「あー、ごめんね。ほら泣かないの」


あのすぐ後、俺たちがいたドアが開き
俺は何をしたいのかよくわかってなかったが彼女を連れて電車から降りた




そしてきょとりとしながらもカバンからティッシュとウェットティッシュを取り出し手についた精液を拭く彼女を見た瞬間、何故か涙腺がついに崩壊した

情けないと思いながらも高ぶった興奮も崩壊した涙腺も治らずに

何故か椅子に並んで座り、彼女に頭を撫でられている現状でアリマス


「ごめんね、楽にしてあげた方が良いのかと思って」

「っぐ、ぅー、っん」

「あぁはいはい、無理しないで泣いて良いから。ごめんね」

かちゃ、と彼女がサングラスをはずすと
ぱっちりしてるけれど、垂れた目がはんにゃり感を醸し出す可愛らしい顔が現れた

もうよく分からない衝動のまま、情けなくも泣いたまま

彼女を抱き締めると、それでも彼女は優しく背中を叩いてくれる



あっけなく一目惚れ。あっけなく恋に落ちた俺は


どうすればこの状況から未来に繋がるのかわからなかったが


それでも泣きながら必死に考えた


『青少年生理現象』


体を重ねると愛着がわくってマジだったんだな。え?なんか違う?







「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -