────許さない
『ついに聖女を奪ったぞ!!』
────絶対に許さない
『こうなればあいつは用済みだ。さっさと処分するにかぎる』
────シーザー様に仇なす人は
『だいたいあいつは気に入らなかったんだ。裏の役者のくせに表まででばってきて』
─────────その命をもって償え
『聖女…?な、何を、うわああああ』
ステンドグラスの綺麗な大きな窓
白と金で統一された部屋の中
白と青い豪華な服を着た人々─────の死体。
部屋には白と金の他に赤い鮮血が混じり
赤い血肉はこの部屋の違和感と化す。
もちろん、帰り血を浴びた私も例外無くこの部屋の違和感となった
いや、初めからここに馴染むなんてあり得なかったんだ
空腹で死にそうなとき
父さんに殴られて痛くて痛かったとき
母さんが私を見捨てて逃げたとき
酔っぱらった貴族に杖で殴られたとき
野犬に噛みつかれたとき
全ての苦しくて辛いとき
カミサマは、なにもしてくれなかった
私のカミサマはシーザー様なんだ。彼以外私を救ってくれなかった
けれど私が敬愛する彼のもとにはもう戻れない
唯一の救いは、彼にとって不利益なこいつらを殺せた………きっとお役に立てたと言うことだろうか
血肉のへばりついた燭台を捨て、美しいステンドグラスを見上げる
ああ、違う
きっと私は、こいつらを殺すためにここに送られたんだ
けれど教会の重鎮を殺したとなればさすがのシーザー様も揉み消せないから、そのまま処刑されろってことなんだ
そう考えれば
「失礼しま……う、うわあああ!!お前、な、何を」
死ぬことも怖くない
自然に浮かぶ笑みのまま、入ってきた青年を見やれば
彼は恐ろしそうに驚愕した表情を浮かべた
帰