「お前にはその剣は似合わないから短剣にしておけ。その分性根はそのままで神聖魔法をもっと伸ばせ」

「はい!!」


シーザー様に言われたから
大剣なんかすぐに捨てた


他にも何があるのかな、とわくわくしながら言葉を待って見上げるとアレクさんにぐりぐりと頭を掻き回しながら撫でられた


「わぁ、」

「よーかったなぁ、リコ!!いやぁ市民権とか色々と発行させられた身としては、お前が仲間になってくれて良かったわぁ。無駄になんなくて」

「市民権?」

「……おい」

見上げると何故かシーザー様がアレクさんを睨んでるけど、アレクさんはにやにやと楽しそうに笑うばかりだ

「シーザーお兄さんはねー、始めっからリコちゃんをあんな場所に返すつもりは無かったんだよー。こんな怖い顔な癖に優しいよねー」

「ちっ、帰るぞ」


よくはわからないけど
シーザー様は、凄い凄い優しいってことは分かった

「わちゃっ、いったぁ…」

イライラしながら足早に馬車に向かうシーザー様を走って追いかけると、着なれない固いスーツのせいかボテッと転んだ

慌てて咄嗟に受け身を取った手を擦りむいて痛むがそれでも置いて行かれたく無いから必死に起き上がろうとすると、ひょいっと首根っこを猫みたいに掴まれた

ちょ、と、苦しいけど
私を持ってるのはシーザー様だから文句は言えない

「さっさと行くぞ。あと次からスーツじゃなくて子供らしいドレスでも着ておけ。その方が相手も油断する」

そのままちゃんと片手で抱き上げられて
申し訳ないけれどしがみつかないと危ないから、ぎゅっとシーザー様にしがみつく

「はい、かしこまりました」

「あはははは!!シーザーロリコン!!」

「黙れ殺すぞ」

「殺しますか?」

「あはははははは!!」

「バカはほっとけ」



そのまま馬車に乗り込み
町のお洋服屋さんに行き、出世払いしろとドレスを何着も買ってもらった


転んだせいで汚れたスーツは脱いでその場でドレスを着せて貰い

おそれ多いけど、シーザー様の大きな手で髪を結ってもらう



気分も、全てが終わったあとの私の姿もまるでお姫様のようだった






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