「…………鷺田です。」
「へ?もしかして鷺田さんの弟さんとか?」
「本人です」
ぷくくくくくく
さりげなくさなぎちゃんの隣をキープしたけど、笑いを堪えるために壁に突っ伏すはめになった
ナイスぼけだむっさん。お姉ちゃんは君が大好きだよ
「え、え?嘘だろ!?」
「………志岐。」
慌て出す睦月の裏返った声と
心外なのか、低い声になった涼
もうだめだった。私はこの日二回目の大爆笑をかました
「あーはっはっはっは!!ぷくく、な、ナイスすぎるむっちゃん」
「……まじかよ」
「んー、今日は色々とありがとうね。かなり楽しかった」
「そうですか」
レストランでワイングラスを合わせて乾杯して
飲むことはしないで、ディナーに手をつける
涼の機嫌はあの後睦月の平謝りによって回復したし、私もさなぎちゃんに小さな綺麗な風景画を貰ってご機嫌だった
フォークでサラダを刺して食べるとやはり噂通りに美味い
そしてそれ以上にドレッシングの材料はわかったが作り方が気になった。これは料理人の性だから仕方がない
「でもさ、その服似合うけどやっぱりこういうところには合わないね」
「着せたのは志岐でしょう?」
「まぁねー。まぁ、また今度その服装で映画でも見に行こうよ」
「寝ないでくださいよ?」
「さぁどうしようか?」
くすくすと笑い合いながら、他愛ない話を交わして
…………あの、嫌いなタイプだった執事ちょー様とこんな風にデートをしていることに違和感を感じた
けれど、これも悪くない
「今日は飲まないんですか?」
不意に
私のワイングラスに視線をやり涼がそんなことを尋ねてきた
それを曖昧にするように笑い目を伏せ
軽く息を吸って、吐く
「しばらくは禁酒かな。あと仕事も辞めるかも」
「は!?私はそんなの聞いてませんし許しませんよ」
一瞬で不機嫌になった彼氏に、なおも優しく笑いかける
もう笑うしかない
「涼は許してくれるはずだよ。ねぇ…………」
まさかこの私が、ついに結婚するとはなぁ
『男の子と女の子、どちらだと思う?』
帰