ここがベータが長年過ごした場所
そう思えばこの研究所を壊滅させたくなった

昨日、ベータを含めて実験のデータなどをごっそりと盗んだのに───研究所は外から見る限り人が全くいない。
二日連続で来るとは思っていないのか、ろくな見張りもいなかった


さて、どこにいるのか
事前に入手して頭に入れてあった地図を思い出す


ベータのあの様子からして、きっとベータの居住スペースの近くだよな
それで居住ルームと監視ルームが隔てられるくらいの広さがある部屋は……



いくつかの候補を適当に決めて
ふらっと、研究所の中に侵入した






いくらろくな見張りもいないとは言え、防犯カメラもついているのにこんなに人に見つからないままさくさく進めるのはおかしい


罠か、と怪しみながら捜索を進めると……やはりソレは罠だった。とは言え俺の予想とはかなり違ったが


気持ち悪いくらい真っ白な廊下を曲がり、昨日ベータと再会を果たした廊下へと差し掛かると……そこには人の集団がいた


「……お前か」


その集団の一番前で俺を睨むのは

ぱっと見ただの子供だった。けれどただの子供では無いのは本能でわかった


「……ベータを、かえせ」


ガキが俺を指差すと
操られるように鉄パイプや拳銃をもった人間達がふらり、と妙な動きで俺の方へと歩き出した

“マモル、ガンマ、マモル、ガンマ”とぶつぶつ呟く様子は明らかに異常で


「お前の能力は催眠、か」


操り人形のようなその様に、適当に判断をつけるとガキは更に嫌そうに顔を歪めて俺を睨んだ


「……なんで、お前にはきかないんだ。ベータ以外なら今までなんでも俺の言うことをきいたのに」


その一言に
元から嫉妬で不機嫌だった俺の怒りは一瞬で頂点に達した

“ベータ以外なら”つまり、お前はベータを操ろうとしたっつーことだよな?

バッと右手で俺に近づいていた人間を吹っ飛ばすとガキもようやく目を見開いてびびりだした


「お前、俺のベータを操って思いのままにするつもりだったのか…?」

「な、なんなんだよお前!!武器も無いくせに……」

「道具なんかあったって、邪魔なだけなんだよ」

一体一体、10mほどぶっ飛ばして人の壁をぶち壊す
そして無防備になったガキの目の前まで行くと、ガキは怯えながら逃げようとして……その襟首を掴まえて持ち上げる


「雌一匹に、雄は二匹もいらねぇんだよ。ベータは俺のモノだ。だから死ね」

「まさか、あんたがアルファ………」


そして目を見開いたガキの心臓を抉り出して、潰した
しばらく死体を見つめて、再生しないのを確認すると適当な水場で手を荒い研究所を後にする


………さっさと始末をしておいて良かった。あんな厄介な能力の持ち主が成長したらさらにめんどくさいことになりそうだし

さすがに大量すぎる人間が敵になったらベータを守りきれる自信がない

それでも俺は生きている限り彼女を諦める気は無いが




俺のベータへの執着心を止める方法は、俺を殺すのみだ




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