嫌われてないと言う確かな確信


それは私に絶対的な安心感をくれたんだ









「すぅぅぅざくぅぅぅぅ。暇、構って遊んでジュース奢って」

「うぜぇ」


内心嫌われないかな?とビクビクするのはいつものことだけど
朱雀はいつも文句を言いながらきちんと構ってくれるし遊んでくれる

今日もほら、


「ゴミ捨てとけ」


そんなことを言いながら渡されたジュースは、まだ中身が半分以上ある


私と真逆で愛想が全く無い朱雀は、それでも凄く優しくて
愛想が無い分ストレートに無理なときはきっぱり言ってくれるから分かりやすくて、不安にならなくて済むから本当に大好きだ



「朱雀ツンデレきゅん!!そんなところも愛してるよハニー」



朱雀は私にとって
恋とか友情とか愛を超越して、最早私の主軸な人だった

嫌われてないかを甘えて確認して
ちゃんと受け入れられてるのが嬉しくて嬉しくて、私の精神もわりと前向きで保っていられる



私の全ては朱雀で始まり朱雀で終わっていた

それで良かった。嫌われない現状に不満なんて、微塵も無かった…………



だから普通に知らなかった
朱雀がずっとずっと、私を恋愛感情で見ていてくれたなんて



………………────



「………どうしたの楓」

「わっ、い、いや、なななななんでもございませんことよ!!」

「…………本当にどうしたのよ」


きょとりとする友人
構われることは嬉しいけど、今は、今だけは放って置いて欲しい


いつもと違い朱雀とかなりの距離を置いて座った席
そこからチラチラと朱雀を見るたびに羞恥心と罪悪感と、どうしたら良いのかわからない困惑が込み上げて


私は、私を保つことが出来なくなっていた


先日
先輩に薬を盛られた私は、朱雀に抱かれた
他の誰でもない、朱雀で良かったと思うけど



その後に告白をされて、付きあいだして
身体中が重かったり痛かったりした私に朱雀はとても優しかった
けれど、なんというか、その

優しいけど優しいだけじゃなくて

時折キスをされたり、事実を知ってしまえば気恥ずかしくなるような優しい眼差し手見つめられたりしていて


なんか、朱雀の傍に恥ずかしくて近寄れなくなっていた




「ねぇ三枝君、楓どうしたの?」


でも本当は傍に行きたくて
私は行けないのに簡単に朱雀の元へ行った友人にちょっとだけ胸が痛む


「…………そろそろか」


付き合えとは言われたけど、やっぱり駄目かもしれない
今までみたいに上手く出来ない
ぺしょーんと、机にうなだれる


「楓」


そんな私の耳に届く、凛とした低い声
まるで犬みたいにばっと反応すると朱雀は自分の横の席を叩いていて



来い。そう言っていた


い、いやでもさ、あれだよあれだから、私はこの席の方が良いよねミスター!!

軽くないパニックを起こしているともう一度名前を呼ばれる


「…………楓」


今度は甘い優しい声。泣きじゃくりながら抱かれる私をあやしつづけてくれた、あの声だ


おずおずと、隣の席に行って
でも朱雀の顔が見れなくてまたぺしょーんと机にうなだれる



「こう言うことだ」


そんな私の頭を朱雀が撫でるもんだから、もう顔が熱い
羞恥死ぬ。マジ死ねる


「え………今更付きあいだしたわけ?日頃っから愛してるとか騒いでたくせに」

「そりは言わないでぇ」




『恋愛、始めました』






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