結局朝方まで俺たちの交わりは続き
強く楓を抱き締めて眠り
目覚めたのは楓の泣き声が原因だった
「くっ…ぅ…ふえ…」
「…か…えで…どうした?」
寝起きで現状がわからずとも、楓がベッドの端に座り泣いているのだけはわかる
いつもみたいに頭を撫でると、それまでは堪えて泣いていた楓の涙腺が決壊した
「ず、ずざぐううう、ごめ、ご、ご、ごめなさっ、っく」
迷惑かけた
もう嫌われちゃう
朱雀に嫌われたくないよぉ
意味がわからん。寝起きの頭では特に
とりあえず体を起こし自分の裸を見てゆっくり頭が目覚めてくると、そういえば楓を抱いたんだと思い出してきた
「楓」
俺の声で泣きながらこっちを見る楓は、化粧はボロボロで鼻も目も真っ赤で
等身大のままの、子供みたいな楓で自然に笑みがこぼれる
「来いよ」
そういえば相変わらず大きな目をぱちくりさせて
涙は止まったけど、いまだえづきながら近距離でじぃっと俺を見る
「いいの…?迷惑じゃ、あ、で、でも朱雀、は、裸だし」
「良いから来いよ」
捨てられた子犬みたいにしょげて、真っ赤になってあたふたして
結局楓は俺に抱きついてきた
「…ごめん」
「ちっとは気をつけろ、バカ」
「うん、迷惑かけてごめんね」
俺たちは一線を越えてしまった
楓の柔らかな唇を、体を知った今はいままでみたいに据え膳を堪えられるかわからない
けれど、だからと言ってそれで楓を遠ざけたら臆病な楓は傷つくから
「なぁ楓」
男としてなんか見られてないから、まだ告白とかしたくなかったんだが……
「好きだから、付き合ってくれないか?」
仕方がないよな。もとから好きで好きで我慢はきつかったし
だがしかし真剣に言ったのに楓はポカーンと放心状態に陥り
そんな彼女のほっぺをつねると、ぼぼぼぼぼっと顔と言わず全身が赤くなった
「い、いやあの、SEXしたせ、責任とか良いから!!むしろこんな貧相な体でごめんなさいって言うかさ、そのさ」
「俺の告白をそうやって濁したらコロスゾ」
心のそこから睨み付けると、楓は真っ赤なまま顔を隠すように抱きついてきた
「朱雀はイケメンさんだし、ツンデレだけど優しいしもっと可愛くて前向きな彼女が出来るよ?」
「後ろ向きなお前が良いんだよ。お前のネガティブは全部支えて甘やかしてやるからさっさと俺の手に落ちろ」
ぐぐぐ、とうめき声のあとに聞こえた小さな小さな
“私もすきだよ”
こうして俺の四年がかりの恋は成り行きで実った
『意思の上に四年』
←→
帰