『あんたなんかがここにいることが、身分違いなのよ』
そう言われて、ティーカップの中に入っていた紅茶をくすくす笑われながら頭にかけられる
頬を滴る生ぬるい滴を感じながらも私は、ただ耐えた
悲しいし悔しい
けれど貴族とは名ばかりの身分の低い私がここで反論したりしてしまえば、うちはあっと言う間に潰されてしまう
「そうですよねぇ」
張り付けることになれた笑みを浮かべれば、オトモダチ達はどっと盛り上がり
そのま次のトモダチの話しに変わっていく
なんでこんな辱しめを受けなければならないんだろう
誰かが話してる時に席を立つのはマナー違反だから、私は紅茶で濡れたまま笑みを張り付けてくだらない恋バナを聞く
「─────風邪ひきますよ」
その時不意に後ろからハンカチを差し出され
回りのトモダチが一気にきゃああ!!と盛り上がった
慌てて振り向けばそこには柔らかな笑顔をたたえた優しい騎士様。近衛騎士のニー様がハンカチを手にたっていた
「ニー様!!もしかして休憩時間ですか?ならわたくし達と一緒にお茶をしませんか?」
そのシンプルなハンカチを受け取るより早く、オトモダチの中で一番身分が高い彼女がそう言い
ニー様は困ったように私を見て笑った
彼は、家柄は最悪で顔立ちも並み以上だけど
第一王子のカイ様の護衛で
優しいのに気さくな性格で将来性がかなり高くて私たちの中でもかなり人気の人だ
「カイを探してたんですけど……じゃあちょっと彼女を借りても良いですか?私の代わりにカイを探してもらいたいので」
「どうぞどうぞ!!」
私の返事も待たずに、回りがそう言い私は無理矢理席を立たされ
あまりの扱いに悔しさで唇を噛むと、ニー様は私にハンカチを渡しながら耳元でそっと囁いた
「カイのメイドに俺から言われたって言えば、きっと湯殿を用意して貰えると思いますからどうぞそこで綺麗にして来てください。ああ、カイは探さなくても良いですから」
きょとん、と見上げると
彼はいたずらっ子みたいに小さく笑ってから私が座っていた席に座りお嬢様たちの質問責めを受け出した
本当に、感動した
彼の細やかな気遣いに
私が抜けても怒られない状況と、汚れた体を洗える状況を一瞬で作ってくれた彼に
好きな人は、いたけれど
その瞬間から私は彼に惚れたんだと思う
だからね
彼をいつも目で追っていたから気付いたんだ
ニー様が、
セルディ殿下に対して、とても甘い甘い目をしていることに
カイザード様に対するのとは違う、もっともっと優しい目をしていたことに
だから、彼がセルディ殿下を殺めたと言う話は信じられなかった
でも、
彼が………いいえ、彼女が
子供を宿していたとひっそりとした噂に聞いたとき
ああ、彼女はセルディ殿下と交際していたんだ。だからあんなにも優しい目をしていたんだと、納得した
例え全ての国民が貴女のことを犯罪者だと憎んでも
私は、貴女の幸せを祈らせてください。
私を助けてくれたお礼は出来なかったから、せめてこれくらいは………
そう深く祈り、私は教会の神像の前に跪いた
===これだけじゃリクエスト違反なので遊び半分のオマケを===
※カイザードが酔っぱらってます。暴走しています。こんなの認めないわ!!な方は全力でバックを!!!
小さな天使たちに引き連れられて、昇った天界
「お連れ様がお待ちですよ」
闇の一族でも天国に行けるんだな。そんな感慨深いことを思いながら門をくぐると……
「おっせーぞセルディ!!あ、ニー潰れてんじゃねぇよ、セルディ来たぞおい!!」
「………………」
大量の酒瓶と、何故か10代の青年の姿をした今の今まですっかり忘れていた兄貴と
酔いつぶれた、求め続けた彼女がいた
シアニーの背中には羽が生えてたとか
兄貴なんでお前いるんだよとか
「セルディぃぃぃぃぃ、あいたかったぞおおおおお!!!」
色々と突っ込み所はたくさんあったが……まずは抱きつこうとした兄貴を殴り飛ばした
「せ、セルディ!?お、お兄ちゃんはそんな子に育てた覚えは無いぞ!!」
「とりあえず、感動の再会を返せ」
そして柔らかな彼女を抱きしめる。しっかりと抱きしめる。
とりあえず、感動の再会は彼女が目覚めたときに仕切り直そう
=======
出来心でした(´・ω・`)
帰