殴っても良いかな?




「なち、洗い物手伝おうか?」

「座ってて」

「じゃあ飲み物用意しとくな」

「座ってて」

「あ!!植木の水やりしたか?」

「座ってて」



はじめは私だって、大丈夫。程度だった
けれど朝食前からずっとずっとずっっっっっとこうだ
いい加減ウザイを過ぎて心底黙ってほしい


だいたいバレンタインは女子の行事じゃ……と思ったけど、そう言えば去年はまっつんに『本命チョコっぽいもの』探しに付き合わされたっけか


当日、その自分で買ったチョコを貰ったんだ!!と自慢するやつをみて憐れんだ記憶が……


「なぁ那智留、なんか手伝うことは?」

「無い」

だけど今の伊吹は、去年のまっつんより憐れに感じる


…………必死に私からチョコレートを貰う機会を得るためにまとわりつくとか、さ












それからもスルーして掃除をし
スルーして洗濯物を干してると




ついに伊吹の耳が垂れた




わかりやすいくらい落ち込んで、項垂れて



それをさらに見守ってると急に何かに目覚めてハッとしてから立ち上がった



「なち!!俺ちょっと買い物行ってくるな?」

「…………行ってらっしゃい」




……………
わかりやすい。なんで私が絡むと伊吹はああなんだろう


そこまで私が良い意味もわからないけど





ま、とりあえずチャンスだし
実家から借りてきたチョコレートフォンデュの機械をテーブルに置いて、フルーツを切りに行った





「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -