馬鹿馬鹿しい
たとえお父上が愚行を犯したとしても、彼がその責任をとる必要などないのに……
大臣の前で軽くため息をついて、目をわずかに伏せる
「……貴方は、何故そのような愚行を…」
「父がした愚行の責任を僕がとるのは当然のことでしょう」
けれど彼は申し訳なさそうにしながら……どこか喜んでいた
そのことに僅かに首を傾げると、聡明な彼はばれたとばかりにニヤリと笑った
「聡明な貴女には、わからないでしょうね。僕の愚行は」
彼は何を言っているのだろう
そう思ったそのとき
ぎぎ、と入り口の扉が開き外から女の人が中を覗いてきた
途端いつものように厳しく叱責する大臣
いつもと同じなのに
それはいつもと違った
「何をしているんですか君は。ノックもしないなんて無作法ですよ。ああ、君が入れた不味い紅茶なんか彼女は飲みませんから」
「……おにいちゃん」
叱責をしながらも、柔らかく微笑み
そして怒られながらも気にしてないのかとろりとした笑みを浮かべて大臣に抱き着く女性
その姿は、どうみても……
「教皇、紹介します。このどうしようもない愚鈍な彼女が僕の家内です」
「おにいちゃん、あそんで?」
愛し合う、二人だった
理解できない、しなくてもいい
私には何故彼らがあんな愚かな釣り合わない結婚をしたのかわからない
わかってしまったら
納得してしまったら
私は、この秘密の想いを諦めなければならないから
彼らが住む家を出ながら
私は理解できないふりをして、全てを秘密のままにした
『2 女教皇』
秘密・神秘・英知
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