スズの従兄弟へのお披露目とやらで向かわされた先。

スズの屋敷と変わりなく、立派な屋敷に「持ってる奴は持ってるなぁ」なんてそんな事を思う。

中に入り屋敷の人間に挨拶を済ませていけば、最終的に二人の少年少女のところへと辿り着いた。

屋敷の人間である少年の方はどうでも良さそうに、だけどペコリと頭を下げて。

その隣に立つふわふわと愛らしい少女は顔を赤くしながらも少し慌てた様に頭を下げる。

聞けば少女は少年の婚約者らしいのだが。

高校生で婚約者を作らせる事に懸念したものの、世の中には小学生でも婚約者という立場を持つ人間もいるのかと単純にそんな事を思った。

そして婚約者がいる者同士だからか何となくこの二人と共に過ごす事となって。

最初こそ恥ずかしそうにしていたものの、少女の方はだんだんとこちらに笑顔を向ける様になった。

見た目からして愛らしく言動も素直な少女は私から見ても本当に可愛らしい。

隣に座る少女へ抵抗なく優しい言葉をかけていれば二人の人間からのこちらを睨む目に気付いた。

そのうちの一人は少年からのもので、きっと嫉妬の意を表している。

もう一人はスズからのものでこちらも上に同じだとすぐにわかった。

わかったけれど。


「昼ご飯美味しかったなぁ」

「あ、あれ志岐お姉ちゃんが作ったんです!」


とりあえず面倒臭いのでスルーしておいた。


「お姉ちゃん?あまねちゃんて、お姉ちゃん居てんの?」


居たとしても、この屋敷で働いているという事だろうか。

私の言葉に少女はフルフルと首を横に振った。


「志岐お姉ちゃんはえっと…あ、あそこです」


少女の指差した先。

その先にある扉へと視線を移しその顔を目に映した。



『そして対面』







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